2012年9月一般質問議事録
皆様おはようございます。自由民主党の二木健治です。
山本新知事の初めての定例会における一般質問のトップバッターを務めさせていただきます。山本知事はさきの県知事選挙において4人が立候補する厳しい選挙戦にもかかわらず広く県民の皆様の支持を得られ勝利を収められました。心からお慶びを申し上げます。

山本知事がこのような勝利を収められましたのは、県民の皆様が山本知事の豊かな行政経験や、卓越した識見、実行力を高く評価されたものと確信しています。
特に山本知事は、内閣府官房地域活性化統合事務局長として全国の地域活性化に取り組んでこられた地域活性化の第一人者でした。
宇部市においても、郊外型スーパーの進出により中心市街地が空洞化していましたが、民間の活力を利用し、土地と資金を提供してもらいマンションを建設し、市が市営住宅として借り上げる制度ができました。
これにより宇部市は市営住宅の建設費を削減でき、さらにマンションの固定資産税の収入が増えました。
又、マンションオーナーは、20年間安定した家賃収入があり、入居者は、中心部の利便性の高いお洒落なマンションに入居できました。
まさに「三方一両得」の政策です。これを政策立案し、実現されたのが山本知事です。おかげで宇部市の中心市街地は人口が増えました。
まさに日本一の政策通といえます。これからは知事として長年培ってこられた行政手腕を如何なく発揮され「日本一の山口県づくり」に取り組んで頂けると期待しています。
それでは通告に従い順次質問いたします。

1.ルネサス合理化問題について
2.国際戦略バルク港湾とアクセス道路の整備について
3.バイオエタノールによる循環型社会づくりについて
4.全国都市緑化フェア開催地への立候補について
5.いじめ対策について
6.明日の産業を担う人財づくりについて

Q1.まず「ルネサス合理化問題について」お尋ねいたします。
【質問者】二木健治

ルネサスエレクトロニクス関連の山口工場、柳井工場は、それぞれ、地域の主要企業として、長年、本県経済の活性化や雇用の確保に重要な役割を果たしてこられました。しかしながら、同社の生産拠点再編計画が7月3日に公表され、両工場が「譲渡・集約を検討」する対象であることが明らかになり地元に衝撃が走りました。特に宇部市東万倉神元にある山口工場は、7月1日現在で1219人の従業員が勤務しておられます。このうち半導体製品の組み立てを行う「前工程」に900人、「後工程」に250人が従事しており、「前工程」は、1年以内に売却し、「後工程」は2013年下期に閉鎖される計画です。これに伴い早期退職者の募集が発表され、9月18日から26日の間に希望退職者を募り、10月31日付で実施されます。従業員の主な居住地は、宇部市が最も多く593人、山陽小野田市が370人、山口市が92人、下関市が87人、美祢市が46人です。又、宇部工場で「後行程」閉鎖の影響を受ける県内取引先企業は、10社に上り、宇部市と山陽小野田市では7社が取引関係にあります。このうち一社は製品検査を行っており売り上げの9割を依存しています。まさに地域経済に与える影響は計り知れないものがあります。こうした事態を受け、二井前知事や久保田宇部市長、井原柳井市長らが同社を訪問し、直接、再編計画の内容の確認を行い、事業の継続や従業員の雇用の維持について要請をされました。そこで今後県としては、ルネサス合理化に伴う再就職支援や関係企業の支援にどのように取り組むのかお尋ね致します。

【回答者】山本知事
ルネサスエレクトロニクス関連工場の再編・合理化問題についてのお尋ねにお答えします。私としては、工場閉鎖や大規模な雇用調整については、地域経済に大きな影響を及ぼすことから、この企業には社会的責任を果たしていただくことが必要であると考えております。企業としての主体的な取組を求めながら、雇用の安定や地域経済への影響を最小限に止めていただくことに最大限の対応を図ってまいりたいと考えております。まず、お尋ねの、離職者への再就職支援につきましては、これまで、山口労働局や関係市町で構成する「雇用対策連携会議」を、宇部地域と柳井地域に設置し、県内企業に対する求人確保要請活動の実施や、出張相談窓口の設置など、連携して取り組んでいるところであります。こうした中、ご指摘いただきましたように、10月末には多くの従業員の方の離職が見込まれますことから、今回の補正予算において、所要の経費を追加計上し、再就職支援の取組を強化することとしております。具体的には、まず、求人企業と離職者とのマッチングを強化していくために、若者就職支援センターのキャリアカウンセラーを派遣するとともに、「離職者就職フェア」を追加開催することとしております。また、離職者の職種転換支援を強化するために、関係地域において職業訓練コースの追加設定を行ってまいります。さらに、地域内に緊急的な雇用の場を確保するため、関市町に対し「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を追加配分することとしております。次に関係企業への支援であります。ルネサス関連工場と取引関係にある県内中小企業においては、資金繰りの悪化などにより、経営安定に支障をきたすおそれがありますことから、関係商工会議所等に「特別相談窓口」を設置し、きめ細かな相談対応や情報収集に努めているところであります。また、中小企業制度融資において、「経営安定資金」など、いわゆるセーフティネット資金を今年度拡充したところでありまして、これらの資金が積極的に活用、お使いいただけるよう、金融機関や信用保証協会に要請を行うなど、金融の円滑化を図っているところであります。さらに、受注減が見込まれる中小企業の販路拡大を支援するため、やまぐち産業振興財団をはじめ、関係支援機関と連携して、新たな取引先の斡旋にも取り組むこととしております。私としては、今後とも、経済・雇用情勢の推移を十分に注視しながら、関係機関・団体などとの緊密な連携の下、離職者の再就職支援や関係企業の支援に取り組んでまいります。

Q2.国際バルク戦略港湾とアクセス道路の整備について
【質問者】二木健治

国際バルク戦略港湾については、県は昨年2回、国家プロジェクトとして制度設計をおこなうよう国に要望しましたが、平成24年度予算では計上されず、要望事項が実現しないまま現在に至っております。国では、今年度予算において、来年度予算編成作業のため、国際バルクの施策に伴う効果分析や施策目標の具体化等を検討し、「制度設計」の基礎資料となる港湾調査を実施しており、7月中を目途に、概算要求に向けた中間とりまとめなどを行うと聞いています。また、この夏に政府が策定予定の「新エネルギー基本計画」への位置づけの中で、火力発電に必要な「石炭需要」等の見直しが議論されているため、現在、経済産業省と連携した検討会を進めており、さらに、バルク施策の具体化のため、関係者との意見交換などを引き続き進めていくと聞いています。
一方、本県では、国際バルクに選定された徳山下松港、宇部港の両港において、継続事業として、航路浚渫等、ほほ所要額を確保した中、既に始まっておりますが、来年度予算においても、現行制度のまま、地方の厳しい財政状況を踏まえた制度設計が行われなければ、地方の負担は過大となることが懸念されます。このため、県としては、国において、制度設計を先送りせず、平成25年度予算編成の中で、確実に構築するとともに、地方の意見を十分踏まえたものとなるよう、6月、政府要望を行ったところです。
そこで国際バルク戦略港湾についてその後の進捗状況をお尋ねいたします。

【回答者】土木建築部長
国際バルク戦略港湾についてお答えします。昨年、国際バルク戦略港湾に選定された徳山下松港・宇部港では、大型船舶を活用した一括大量輸送により、石炭の安定的かつ安価な輸送を目指すこととしています。こうした中、既に本年度から実施計画に基づく港湾整備事業が始動し、宇部港においては、国が大型船舶に対応するための泊地の浚渫を進め、県がその浚渫土砂の処分先となる埋立護岸の整備を進めているところです。また、この計画の実現のためには、こうした施設整備に加え、運用面での取組が重要であることから、関係企業7社で構成する協議会において、共同配船など企業が連携した取組が検討されており、県としても、大型船舶の入港規制の緩和等について、国との調整を進めているところです。お示しの制度設計については、国において、引き続き検討されているところですが、これまで県が求めてきた地方負担の軽減策が、来年度予算の概算要求に盛り込まれておらず、未だ実現の見通しが立っていないことから、計画どおりの事業実施が困難となる恐れも懸念されます。したがいまして、県としては、今後とも、国に地方負担の軽減策を強く求めてまいりますとともに、関係企業間の連携促進等に努め、関係市・関係企業と一体となって、国際バルク戦略港湾の計画実現に向けた取組を進めてまいります。

次に国際戦略バルク港湾整備に伴うアクセス道路の整備についてお尋ねいたします。
最近の船舶の大型化や貨物のコンテナ化に伴い港湾の整備にあわせて港湾からの陸上輸送に対応する産業用道路の整備が必要不可欠となります。私の地元の宇部港周辺においても国道190号と接続する産業用道路の整備が喫緊の課題となっています。宇部港は、昭和26年重要港湾に指定され石炭や石灰石、セメントなどの積出港として地域経済の発展に重要な役割を果たしています。ちなみに宇部港のセメントの移出量は全国第3位です。平成8年から内貿コンテナ定期航路が開設され、コンテナ貨物も年々増加しています。平成23年には25,672TEUとなりました。平成15年には徳山下松港とともに総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)の指定を受け、平成19年には全国第3位の取扱量となりました。平成23年には、徳山下松港とともに国際バルク戦略港湾に選定を受け、官民連携の深化等を通じ、今後のさらなる物流の効率化や民間企業の地元投資を呼び込むことで、地元産業の国際競争力の更なる強化が期待されます。
こうした中、宇部港周辺と陸上輸送の大動脈である国道190号を接続する産業用道路が未整備の為、交通渋滞が起きています。アクセス道路として期待されている宇部湾岸道路は一部開通しましたが、西中町ICで工事が中断しています。山口宇部空港までの約5Km区間の建設が強く望まれますが、財政状況が厳しい中、取り敢えず整備区間指定されている新町ICまでの約1.5kmの延伸が強く求められます。
そこで宇部港のアクセス道路である宇部湾岸道路の整備についてお尋ねいたします。

【回答者】土木建築部長
次に、宇部湾岸道路の整備についてお答えします。本道路は、地域高規格道路「山口宇部小野田連絡道路」の一部を構成するものであり、現在、西中町インターチェンジから西側の約6kmについて、今年度末の全線供用に向けて 整備を進めているところです。同インターチェンジから東側へ山口宇部空港までの未着手区間約5kmについては、港湾や空港のアクセス強化に資するものですが、住宅密集地などを通過せざるを得ないことから、膨大な事業費を要することが想定されます。このため、今年度末の供用後の交通需要や社会経済情勢等を踏まえ、整備について慎重に判断していく必要があります。こうした中で、未着手区間のうち、お尋ねの新町インターチェンジまでの約1.5kmについては、宇部市中心市街地の渋滞緩和や交通安全を図るため、今回供用する区間と併せて一連の区間として都市計画の決定をしており、お示しのように国際バルク戦略港湾に選定された宇部港へのアクセスの大幅な改善が見込まれることから、今後、財政状況や地元市の意向を踏まえながら、事業着手の可能性を検討してまいります。

Q3.バイオエタノールによる循環型社会づくりについて
【質問者】二木健治

山口県では、環境への負荷の少ない循環型社会の形成を重要な政策課題と位置づけ、これまでリデュース、リユース・リサイクルの3Rの推進に積極的に取り組んできました。全国初のごみ焼却灰セメント原料化システムの構築やレジ袋無料配布中止などの県民運動によりゴミのリサイクル率が全国トップとなっています。まさに県民、事業者、行政が一体となって全国に誇れる循環型社会づくりが展開された結果です。これからも循環型社会づくりをさらに加速化していかなければなりません。山口県内では、家庭や事業所から年間約17万4千トン(平成20年度)の食品廃棄物(生ごみ)が排出され、そのほとんどは焼却処理されています。生ごみは、 調理に伴い毎日発生し、 水分を多く含み、重く、燃えにくい、 腐敗しやすいなどの特徴があります。さらに排出されている生ごみには、食べ残しや賞味期限切れの食品など、まだ食べることができる食品(いわゆる「食品ロス」)も含まれています。この食品ロスの量は、食品廃棄物全体の約3割に相当すると推計されています。生ごみの排出を減らすためには、こうした食品ロスを減らす(リデュース)必要があります。また、環境への負荷が少ない循環型社会の形成を図るため、堆肥や飼料の原料として有効活用(リサイクル)するなど生ごみリサイクルシステムの構築に取り組んでいかなければなりません。
又、山口県は中山間地域の占める割合が高く、全国平均を上回る高齢化が進んでいるため農業の担い手不足や農作物の価格低迷などにより農業経営を断念せざるを得ない状況が続き、耕作放棄地が増加傾向にあります。県内の耕作放棄地は、2010年世界農林業センサスによると販売農家と自給的農家にかかるものが3,706ha、土地持ち非農家の耕作放棄地4,463haの合計8,169haとなりました。水田農業には、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承などの多目的機能があり、耕作放棄地の増加は中山間地域にとって大きな問題となっています。
こうした中、これらの二つの問題解決ができるバイオエタノールを製造する一石二鳥の研究が山口大学農学部で行われています。バイオエタノールは、バイオマスを原材料として製造するため燃焼しても大気中のCO2を増加させない特性をもった燃料です。バイオエタノールの生産に向けた技術開発はこれまで国内でも取り組まれ、一定の技術力が開発されてきました。しかし、バイオエタノールの原材料については、これまでの国内生産物ではコストがかかりすぎ現在のコスト構造では国産のバイオエタノールを利用することは困難となっていました。そこで山口大学では生産系資源として耕作放棄地や休耕田でバイオエタノールの原材料の一つとして食用外米を栽培し、低価格で安定した量を供給できるかの可能性を検討し、さらに廃棄物系資源として食物残渣によるバイオエタノールの製造に向け、安価で収集可能な原材料の可能性についての検討を行いました。その結果、東南アジア地域でのバイオエタノール研究を通じて、冷却エネルギー削減、反応性向上、雑菌の混入抑制の利点がある「耐熱性酵母」を開発し、従来は7~9月の夏季の製造ができず蒸留コスト高となっていた問題を解決してコストの削減につなげることができました。こうした山口大学のバイオエタノール製造技術力に加え、山口市の1世帯当たりのガソリン購入金額は、都道府県庁所在地の中で全国第一位の122,136円で第二位の松江市の100,931円より21,205円も多く消費されています。又、県内には3ケ所の製油所があります。又、復元可能な耕作放棄地の面積は3,573haであり、仮に生産可能な耕作放棄地で新規需要米を生産すると約4,150t/年の新規需要米が収穫できる計算になります。これはバイオエタノール製造量約1,840kl/年に相当します。さらに県内の174,000tの生ごみから約7,700kl/年のバイオエタノールが製造可能といわれます。これを地元の製油所でバイオガソリンとして製造し、県内ガソリンスタンドに出荷することができれば、地産地消のクリーンエネルギーとなります。
こうした山口県の特性を生かした全国初のバイオエタノールによる循環型社会づくりについて産学官の連携で調査研究する必要があると考えます。そこで、県のご所見をお尋ねいたします。

【回答者】農林水産部長
バイオエタノールによる循環型社会づくりについてお答えします。バイオエタノールは、再生可能エネルギーとして期待されるものの、原料となる作物や食品廃棄物の確保、不安定なエタノール発酵、高額な施設整備や製造コストなど、いまだ多くの課題を有しています。こうした中、お示しの山口大学では、発酵速度に優れ、生産効率の面からコスト削減に繋がる「耐熱性酵母」によるバイオエタノール製造技術の開発が進められ、大規模施設での実証や、稲わら等のセルロース系バイオマスへの適用などの課題は残されているものの、実用化に一歩近づいているものと考えています。県としましても、循環型社会づくりを進める上から、バイオエタノールについて検討していくことは重要であると考えており、すでに担当教授と開発された技術の内容や実用可能性等について意見交換をしているところです。また、バイオマス活用推進基本法に基づき、本年度中に策定する予定のバイオマス活用推進計画においても、エタノールの生産が可能な米等の資源作物や、稲わら等の未利用バイオマス、食品廃棄物等の廃棄物系バイオマスの活用方法の一つとしてバイオエタノールを位置付け、具体的な方策を検討していくこととしています。さらに、山口大学や民間企業で構成するバイオエタノールに関する研究会に参加し、原料となる資源作物の生産や未利用バイオマス、廃棄物系バイオマスの収集に加え、バイオエタノールの製造から供給までの様々な課題について、産学公が連携して調査・研究を進めてまいります。

Q4.全国都市緑化フェア開催地への立候補について
【質問者】二木健治

次に、昨日、我が会派の友田議員の代表質問にもありましたが
本年5月27日山口市きらら浜において「第63回全国植樹祭」が、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、県内外から1万人を超える方が参加し「育むいのち 彩りの森・光る海・碧い空・ 燦(きら)めきの発進」をテーマに盛大に開催されました。本県独自の森林づくりの取り組みや、三方が海に開かれた県土の特性を活かした森・川・海のつながり、海岸林の創生などの取り組みを県内外へ発信し、わが国の森林づくりや緑化活動に大きな影響を及ぼす機会になったと考えます。本植樹祭で醸成された県民の緑への関心の高まりを一過性のものとせずに県民参加の緑化活動を着実に推進して行かなければなりません。そんな中、第29回全国都市緑化フェアTOKYOが、都内6箇所のメイン会場を中心に、平成24年9月29日(土)から平成24年10月28日(日)までの30日間にわたり開催されます。全国都市緑化フェアは、国民一人一人が緑の大切さを認識するとともに緑を守り、増やし、育てる知識を深め、緑がもたらす豊かな潤いのあるまちづくりを進めるための普及啓発事業として昭和58年から全国各地で開催されている花と緑の祭典です。過去のフェアは概ね100万人以上の来場者を数えており大きな集客効果があります。イベントの成功か否かはどれだけ多くの人をどれだけ広い範囲から集められるかにかかっていますが、最近のフェアの来場者は開催地の市域以外に居住している方が過半数を占め、そのうち約2割が県外からの来場となっています。全国都市緑化フェアの経済効果は1.5~3.0程度との調査結果があります。これは類似イベントと比較しても遜色のない開催効果といえます。財政状況の厳しい中、気になるフェアの収支バランスは概ね黒字となっており、余剰金などは地域の都市緑化事業などにも活かされています。そこで全国植樹祭の感動が冷めやらぬ中、100万人の集客数が見込める全国都市緑化フェア開催地として立候補すべきと考えます。県内には、宇部市の常盤公園はじめ花の名所といわれるところが数多くあります。山口県の美しい緑や花を全国に発信する絶好のチャンスだと思います。山本知事も、年間宿泊観光客数4百万人構想の実現や、全国、国際イベントの開催を通じた観光客の誘致を掲げておられます。そこで全国都市緑化フェア開催地への立候補についてお尋ねいたします。

【回答者】土木建築部長

「全国都市緑化フェア」の開催地への立候補についてお答えします。
県では、これまで、緑化推進に積極的に取り組んできたところであり、平成20年には「全国みどりの愛護のつどい」を、また、本年5月には「全国植樹祭」を開催し、これらによって、県民の緑化に対する意識は確実に高まってきていると考えております。今後は、この緑化意識の更なる向上を目指していくとともに、住宅・店舗・事業所への緑化の積極的な導入や、伝統技術の継承、新技術の開発などによる緑化技術の普及を図る継続的な取組にも発展させ、市場の拡大等に繋げていくことが望ましいと考えております。お尋ねのフェアについては、お示しのような緑化意識の向上や多くの来場者による経済効果が期待できますが、イベントとしての一過性のものにはとどまらず、緑化の普及推進等に繋がる継続的な取組を進める際の有用な手段の一つとなる可能性もあると考えられます。したがいまして、県としましては、今後、こうした緑化の普及推進等に向けた継続的な取組を検討していく中で、フェア開催地への立候補についても検討してまいりたいと考えております。

Q5.いじめ対策について
【質問者】二木健治

9月11日発表された文部科学省の平成23年度問題行動調査によると全国の小中高等学校の児童生徒の自殺者数が、前年度より44人増加し、200人となりました。しかし、いじめが原因とみられるものはわずか4件(2%)しかなく、116件(58%)が不明とされました。学校や教育委員会の隠蔽体質が疑われるような調査結果といえます。いじめは、人間の尊厳を踏みにじり、子供の心に一生消えない深刻な傷を負わせ、人間にとって大切な人間への信頼感を奪い、限りない人間不信を招き、未来への希望までも奪ってしまします。次代の我が国を担う子どもの育成を図っていく上で、その生命・身体を守ることは極めて重要であり、これまで以上に学校、教育委員会、さらには家庭や地域も含めた社会全体が一丸となって、いじめや学校安全等の問題に取り組んでいくことが必要です。
昨年11月28日「全国いじめ被害者の会」大澤秀明理事長ご夫妻が、「いじめに対して学校教育法第11条の懲戒、第35条の出席停止の措置を行うよう」県教育委員会に要望書を提出されました。大澤理事長によると「学校や教育委員会が、いじめをいじめとして捉えないといじめは継続され、深刻化し、自殺にまで至る。加害生徒は、事の重大さを自ら容易に認識できない。指導には限界があり、措置をしなければ加害生徒も更生に導くことができない。措置して更生のために導いてもらえなかった加害者も被害者になる。」と措置による対応を強く要望されました。これに対して県教育委員会は、「いじめる加害者生徒を許されないことと措置をしてしつけ、いじめる人を少なくする。できれば無くす。それこそがいじめ被害者を少なくすることになる。」と応対されました。これに対して大澤理事長は、「とてもうれしく、すがすがしい気持ちになりました。山口県教育委員会、アッパレ!」とHPに活動報告として掲載されていました。大澤理事長にここまでお褒め頂き、うれしく思うと同時にいじめ被害者を出さない取り組みをしっかりしなければならないとの思いを強くしました。
そこでお尋ねですが、いじめを理由とした懲戒や出席停止の措置については、全国的には慎重な姿勢を取る教育委員会もありますが、県教育委員会はいじめ問題への対応においてこれからどう位置づけ、今後の取り組みを進めていかれるのかお伺いいたします。

【回答者】教育長
いじめを理由とした、懲戒や出席停止の措置についてお答えします。 学校は、いじめられている子どもを守ることはもとより、いじめの加害者に対しては、いじめが絶対に許されない卑劣な行為であることを認識させ、二度といじめを行わないよう、毅然とした対応と粘り強い指導を行う必要があります。 しかしながら、こうした指導を継続しても、なお改善されず、他の児童生徒の安全や教育を受ける権利が保障されないと判断される場合には、県教委が作成した「問題行動等対応マニュアル」に基づき、学校や市町教委は、保護者の理解と協力を得ながら、十分な教育的配慮の下、懲戒や出席停止の措置を検討することとしております。 県教委といたしましては、まずは、学校でのいじめ対応に最大限の努力を行った上で、懲戒や出席停止の措置の検討が必要となる場合には、適切に運用されるよう努めてまいります。

Q6.明日の産業を担う人財づくりについて
【質問者】二木健治

日本におけるロボット工学の第一人者である東京工業大学の森政弘名誉教授の「物づくりは人づくり」というお話を聞く機会がありました。
森先生が大学で授業をつまらなさそうに聞く生徒を見て、乾電池二本でロボットを製作する授業を始めたところ生徒の目の色が変わったそうです。それをNHKが番組で取り上げ「ロボットコンテスト」が始まりました。
1991年このロボコンを見た青森県八戸市立第三中学校の下山大(ゆたか)先生が、「卒業制作」として、グループ対抗形式によるロボットコンテストを行ったそうです。コンテストでは、ロボット の材料となるモーター やギアボックス、スイッチは全員共通のものを使い、ダンボールや紙パイプ、廃材を利用してロボットを作るのです。ロボット作りの授業は生徒からも好評でした。生徒たちのやる気は大変なもので、チャイムと同時に技術室に駆け込み、昼休みも休み時間もトイレを我慢し、削りカスにまみれ、指先が真っ黒になっても、ロボット製作に没頭し、登校拒否の子供が、下校拒否になるほど夢中になる授業となりました。ロボコンはチーム制で行われていますが、このチーム分けは抽選で行われます。チームメイトとなった子どもたちどうしで、新たな友人関係ができることもありました。チームで共通の目標に向かって学び、協力することで、生徒たちは仲間への思いやりや社会性や人間関係を学び、友情を育んでいったのです。第1回のロボットコンテストは1992年2月 29日という、3年生にとっては卒業を間近に控えた時期に行われました。そんな時期に関わらず、生徒からの感想文はコンテストをやってよかったという喜びや充実感、仲間や教師への感謝の言葉 で埋められていました。
まさに森先生の言われる「物づくりは人づくり」の実践例といえます。第三中学校のロボコンは、次第に全国の教育機関や大学、文部省からマスコミにまで注目され、2001年度からロボコンは新学習指導要領の「総合的学習」の技術・家庭科の具体的な実践例として位置づけられるようになりました。
又、荒れていた工業高校がソーラー自動車の制作をはじめたところ荒れが収まったという事例もあります。このように物づくりは人づくりに通じるものがあります。道徳教育というのは言うのは簡単ですが実践するのは難しいものです。そこで物づくりを通じて思いやりや協調性、社会性といったものを身につけさせる教育が必要と思います。さらに森先生は、物づくりと仏教は共通するものがあり「もの言わぬ物の声聞く物づくり」との話をされました。すなわち人間には、仏性(ぶっしょう)が備わっており、修行によりものと向き合っていると黙っていても物の意思が読み取れるようになる。これが日本の物づくりの強みであると熱く語られました。
そこでお尋ねいたします。この「物づくりは人づくり」という考え方は、特に、未来のスペシャリストを養成する技術系高校の教育課程においては、極めて重要な視点である考えますが、今後の専門教育の充実にどう取り組まれるのかお伺いいたします。

【回答者】教育長
明日の産業を担う人財づくりについてのお尋ねのうち、専門教育の充実についてお答えします。お示しの「ものづくりは人づくり」という考え方は、ものづくりを通して人間性が育まれ、また、日本のものづくりの強みにもつながるという考えであり、ものづくり教育を進めていく上でも大変に重要な視点であります。こうしたことから、例えば、「全国ロボット競技大会」のような、チームによる課題解決型の学習につきましては、共通の目標を目指してものづくりに取り組むことを通じ、技術力のみならず、協調性や社会性を育んでいくものでもあり、今後の専門教育に積極的に取り入れていくべき取組であると考えております。また、ものづくりを通して社会へ貢献し、達成感や充実感を味わうことは、人間形成にも大きく寄与するものでありますことから、高校生による地域の木造住宅の耐震診断へのボランティア参加のように、地域や多世代の方々とふれあう取組につきましても、一層推進してまいる考えであります。
さらに、職業人としての誇りや心構えを学ぶため、マイスター等の熟練技術者による講話や技術指導を積極的に導入するとともに、「ものづくりフェスタ」への参加を通じて、ものづくりに不可欠な創造的な能力も育んでいく取組など、創意工夫を発揮していく教育活動の強化も必要であると考えております。
県教委といたしましては、こうした考えの下、将来の産業を担う、豊かな人間性と創造性を併せ持つ「ものづくり人財」の育成に向け、地域や産業界とも連携・協力しながら、人づくりにもつながる実践的な専門教育の充実に取り組んでまいります。

次に、我が国の産業・文化の発展を支え、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきた「ものづくり」を着実に継承し、さらに発展させていくため、製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や、伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など、「ものづくり」に携わっている各世代の人材を育成することにより繋げていかなければなりません。山本知事も、瀬戸内の産業力を支えるは人財であるとの認識から高度な産業人財の育成を重点政策とし掲げておられます。そこで明日の産業を担う人財づくりとしての技能の継承にどのように取り組むのかお尋ねいたします。

【回答者】商工労働部長
明日の産業を担う人財づくりについてのお尋ねのうち、技能の継承についてお答えします。御指摘いただきましたように、本県のものづくり産業のさらなる発展のためには、ものづくりに携わる各世代の人材育成を図りながら、技能を継承していくことが極めて重要であります。このため、県においては、雇用・就業対策の指針であります「やまぐち就業促進計画」に基づき、ものづくりを中心とした技能者の育成に向けて、様々な取組を進めているところであります。
 まず、中堅技能者や熟練技能者については、これまで培ってきた技能の一層の向上を図るため、卓越した技能を有し、若年者の指導に積極的に取り組む「山口マイスター」の認定制度や、技能検定の成績優秀者等を表彰する制度により、その功績を顕彰しているところであります。次に、若年者については、平成17年に本県で開催した技能五輪全国大会において、過去最多の入賞を果たすなど、若い技能者の育成や技能尊重気運の醸成に大きな成果をあげることができたことから、その成果を継承しながら、人材の育成に積極的に取り組んできたところでもあります。その結果、技能五輪の入賞者数も全国的にも高いレベルで推移しており、また、昨年度の技能検定の合格者は、高校生を中心とする3級合格者459人を含め、1,570人と過去最多となるなど、若い世代の技能水準は着実に向上しているものと考えております。こうした技能水準の維持・向上を図り、優れた技能を若者へ着実に継承していくため、引き続き、「山口マイスター」を工業高校等へ派遣し、技能指導を行ってまいります。さらに、技能を尊重する気運を一層高めていくため、優れた技能や技術に直接触れ、体験できる「ものづくりフェスタ」や、小学生を対象とした「ものづくり出前イベント」についても、充実を図りながら引き続き実施してまいります。今後とも、技能者の育成に取り組む企業や関係機関と緊密に連携し、ものづくりを支える各世代の人材育成・技能の継承に積極的に取り組んでまいります。