一般質問2010
自由民主党の二木健治です。
一般質問も最終日となりました。大変お疲れの事と思いますが、ご静聴宜しくお願い申し上げます。
「一身の独立無くして国の独立無し」これは、明治の偉大な教育者で「学問のすすめ」等の著者である福沢諭吉先生のお言葉です。
「国民一人一人が独立しなければ、国の独立もない」という意味です。

明治の人々は、黒船来航以来、西洋文明の発展を知り、「西洋諸国に追いつけ、追い越せ」と必死に語学や蒸気機関などの産業技術を学び、現在の日本の繁栄の礎を築いてきました。
今、民主党政権は、子ども手当てや高校の無償化、農家の戸別補償など財源なきバラマキを行なっています。
このようなばらまきは、国に依存する国民を作ってしまうのではないでしょうか?
国に依存する国民は、やがて国を滅ぼしてしまいかねません。
ソビエト連邦など旧社会主義国家の崩壊が、歴史的にも証明しています。
政策には、端的に言えば、お金を稼ぐための「成長政策」とお金を使う「生活政策」があります。
国民受けの良い「生活政策」だけ行えば、財政が破綻をしてしまいます。
この「成長政策」と「生活政策」のバランスが大切であると考えます。
「成長政策」を重点的に行い、国民一人一人が自立できる政策を実現することが大切です。
このことは、地方議会においても同じであり、私も一地方議員として「独立自尊」の精神を忘れずに、県政発展に努めてまいります。
それでは通告に従い、順次質問を行います。

1.少子高齢化社会における成長政策について
2.地産地消の取組みについて
3.水産資源の確保について
4.藻場等によるCO2削減対策について
5.山口牛のブランド化について
6.土地差別調査事件について
7.新・県政集中改革プランについて

Q1.少子高齢化社会における成長政策について
【質問者】二木健治
まず、少子高齢化社会における成長政策についてお尋ねいたします。
少子高齢化の進行が、加速化しています。「平成22年版高齢社会白書」によりますと我が国の総人口は、平成21年10月1日現在1億2,751万人で、対 前年度で約18万人減少しました。一方、65歳以上の高齢者人口は、過去最高の2,901万人で、対前年度79万人増となりました。総人口に占める65歳 以上人口の割合も22.7%で対前年度比0.6%増となりました。こうした少子高齢化の進展は、人口減少を招き、国家財政や年金制度にも影響を及ぼしま す。又、消費が落ち込むことにより、経済や産業にも大きな影響が出ることが懸念されます。こうした課題に対処するためには国や地方において成長政策が欠か せません。そこでまず、第一に増加が見込める高齢者の活用を行うべきと考えます。定年退職の年齢を見直したり、再就職を支援することにより労働意欲のある 高齢者の雇用を促進し、収入を増やし、高齢者の消費の拡大を図るべきと考えます。
そこで、県では、高齢者の雇用にどのように取り組んでいかれるのかお尋ね致します。

【回答者】商工労働部長
最初に、少子高齢化社会における成長政策について、二点のお尋ねにお答えいたします。まず、高齢者の雇用対策についてであります。お示しのとおり、今後、 高齢者が増加していく中で、その知識や経験を生かして働くことができる環境を整備することは、経済社会の活力を維持する上からも、大変重要な課題でありま す。
このため、国におきましては、高齢者の安定した雇用の場の確保に向けて、「高年齢者雇用安定法」に基づき、企業において、65歳までの定年の引上げや継 続雇用制度の導入などの措置が確実に実施されるよう、定年引上げ等奨励金の活用や高年齢者雇用アドバイザーの派遣等の支援を行っております。
一方、県におきましても、中小企業労働相談員による企業の戸別訪問等を通じまして、各種制度や国の支援施策を企業に周知するとともに、その主体的な取組を促進しております。
また、高齢者の再就職を支援するため、県民局でのキャリアカウンセリングや、高等産業技術学校における職業訓練を実施するとともに、シルバー人材センターへの支援を通じて、多様な就業機会の確保を図っているところであります。
このような取組により、定年引上げ等の高年齢者雇用確保措置を導入した企業の割合は、従業者数31人以上の規模の企業におきまして、全国平均を上回る96.6%に達するなど、着実に成果が上がってきております。
今後とも、高齢者自らが支え手として活躍できる社会づくりに向けまして、高齢者の雇用の促進に積極的に取り組んでまいります。

【質問者】二木健治
次に、我が国は、高齢化社会への対応や環境問題といった様々な社会的課題を抱えています。超高齢化社会の到来は、高齢者向けの商品やサービスを開発し、医 療や介護、健康分野での新しいビジネスモデルを作り上げ、少子高齢化の先進県として世界に発信していくビジネスチャンスとして捉えるべきと考えます。又、 現在、低炭素社会の実現も喫緊の課題となっています。本県産業は、基礎素材型産業に特化しており、さらなる消エネ技術の向上等が課題となっていますが、消 エネ分野での技術・製品を開発し、普及拡大させるためのチャンスでもあります。まさに逆転の発想が必要です。宇部地域では、平成3年に企業と大学の共同研 究・共同開発を促進する場として「山口大学地域共同研究開発センター」が設置され、その「医療福祉部会」において、かねてより取り組まれていた医学部と工 学部の「医工連携」が企業とも結びつくこととなりました。このような動きに連動して平成10年に「うべ医療福祉産業研究会」が発足し、産学官の連携による インキュベーションサポート体制が整ったという歴史があります。さらに平成15年には、山口大学工学部内に「山口大学ビジネスインキュベーション施設」が 開設されるなどハード面での整備も進みました。こうした取り組みは、単にニーズイン型産業振興の取り組み事例であるだけに止まらず、ソフト分野での検討を 先行して進めつつ、然るべき時点でハードがこれを補完し、さらにこれが次なる飛躍に向けたソフト検討の種を生み出していくという、産業振興のステップアッ ププログラムの一つの好モデルと高い評価を受けています。昨年実施された科学技術予算に対する「事業仕分け」では、科学技術立国への見識を欠いた判断が下 され、大変憂慮していましたが、科学者や世論の猛反発を受け、撤回されました。大学等の研究成果を核としたイノベーションの創出は、国や地方が成長政策に 取り組む上で不可欠であります。山口大学の研究者の皆様には、様々な困難を乗り越え、研究に頑張って頂きますよう地元議員としてエールを贈らせていただき ます。県では、山口大学を中核研究機関として、高演色性白色LEDと、それを利用した医療機器等の開発を目的とした「やまぐち・うべ・メディカル・イノ ベーション・クラスター構想」を推進してきました。この取り組みは、宇部地域における産業振興の大きなステップとなっています。又、昨年9月からは、これ まで培ってきたLED技術を更に発展し、省資源・省エネルギーグリーン部材の世界最先端拠点を目指して「やまぐちグリーン部材クラスター」事業が新たに始 まるなど今後の展開に大いに期待しています。そこでこれまで育まれてきた研究成果の事業化を加速する為、医療・福祉分野における関連製品を開発する県内中 小企業への支援が必要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのかお尋ね致します。又、宇部地域の産学公が連携した取り組みは、今後成長が見込まれる 環境産業などの次世代産業の育成戦略を構築する上で大いに参考になると考えますが、県としては、宇部地域のクラスター構想の成果をどのように継承・発展さ せていく考えなのかお尋ね致します。

【回答者】商工労働部長
次に、産学公連携による次世代産業の育成についてであります。
本県経済を持続的に発展させていくためには、産学公連携の取組を推進し、次世代につながる競争力のある産業を育成していくことが極めて重要であります。
このため、平成16年度以降、お示しの「やまぐち・うべ・メディカル・イノベーション・クラスター構想」をはじめ、ナノテク技術による液晶パネルの研究 など、産学公の連携プロジェクトを推進してまいりました。 この結果、大学と県内外の企業とのネットワークの形成や、プロジェクトマネジメント能力の向上が図られてまいりましたけれども、一方で、大学の研究室中心 の取組になったことや、県外大企業の参画を余儀なくされ、県内企業による事業化が十分に図られなかったことなどの課題が残されました。
お示しの「やまぐちグリーン部材クラスター」は、こうした課題を踏まえ、昨年度から、産業技術センターを中核機関とし、山口大学や県内主要企業による産 学公連携体制により、本県工業の特性や強みを活かしたLED加工基板や太陽電池材料技術などの開発とその事業化を目指しているところであります。
県としては、これまでの取組成果を基に、お示しの医療・福祉分野等におけるLED応用製品などの試作機製作に対する助成や、全国規模の展示会への出展支援 を行うことにしており、さらに、今年度、山口大学及び産業技術センターに、国の事業により、省エネ・環境分野に係る研究開発機器などを導入し、グリーン部 材クラスターの研究開発を加速化していくことといたしております。
今後とも、これまで培ってきた産学公連携体制をより一層強化し、医療・福祉分野や今後成長が見込まれる環境分野における次世代産業の育成に努めてまいります。

【質問者】二木健治
次に、我が国は、人口減少時代を迎えていますが、東アジア諸国の人口は増加し、今後も高い経済成長が見込めます。こうしたアジア諸国との人や物、文化的交 流や経済的交流を深めることが、我が国の成長政策と考えます。幸い、山口県は、地理的にも東アジア諸国に近く、チャーター便の発着拠点となる山口宇部空港 や韓国釜山を結ぶ関釜フェリー、中国青島を結ぶオリエントフェリーが運航する下関港など東アジアに開かれた拠点施設に恵まれております。これらを活用した 交流が欠かせない戦略と考えます。県では、本年4月より「年間観光客3千万人構想」の実現に向けた一体的な施策を推進する為、観光、交通、国際からなる 「観光交流局」を新たに設置されました。今後は年間観光客3千万人構想の実現に向けた東アジアからの観光客誘致の取り組みや、経済交流をはじめとした幅広 い国際交流を展開し、本県の成長に繋げていくことが重要であると考えます。そこで東アジア諸国との交流の拡大に向けた多角的な戦略をどう展開されるのかお 尋ね致します。

【回答者】二井知事
私からは、東アジア諸国との交流の拡大についてお答えいたします。
元気な山口県づくりを進めていくためには、急速に成長し、発展を続ける東アジアの活力を積極的に取り込んでいくことが必要であります。
私は、そのための戦略として、観光交流局を設置をし、地理的・歴史的に繋がりの深い山東省や慶尚南道との交流を基軸に、観光、経済、環境、文化など様々な分野で、東アジア諸国との一層の交流拡大に取り組んでいきたいと考えております。
まず、観光交流の面では、中国5県の官民で構成する発展推進会議等で取り組んでおりますインバウンド事業の強化や、国際チャーター便の誘致を進めてまい りましたが、本年度からは、新たに、下関港を発着する国際フェリーを利用した国内旅行商品の支援を開始するなど、本県の拠点機能を活かした戦略的な観光客 誘致に取り組んでまいります。
特に、来月から、中国人に対するビザの発給要件が緩和され、訪日観光客の大幅な拡大が見込まれております。この好機を逃さず、私自ら8月に山東省を訪問し、一層の交流拡大に向けた新たな道筋をつけたいと考えております。
次に、経済交流については、ジェトロ山口等の貿易投資関係機関と連携しながら、中国を中心とする東アジア市場をターゲットにした新たな販路の開拓や、円 滑な商取引等を積極的に支援しております、今年の10月には、観光プロモーションを組み込んだ対日投資商談会を台湾において開催するなど、成長を続ける東 アジア地域との経済交流が一層拡大するよう努めてまいります。
また、これらの取組が十分な成果を上げていくためにも、本県の人材や技術の蓄積を活かし、これまで築き上げた、例えば、環境技術や文化交流等、幅広い分野での交流を発展させ、相互理解を深めていくことが大切であります。
また、本県単独では対応が難しい課題には、日韓海峡沿岸知事会議など、広域連携の枠組みも活用して、互いの地域の活性化を図っていきたいと考えております。
こうした多面的な交流の取組を、観光交流局を核として一体的に推進し、山東省や慶尚南道との長年の信頼関係や、大陸に近接している本県の強みを存分に発 揮しながら、東アジア諸国との交流を拡大し、年間観光客3千万人の達成など、元気県山口の実現に結びつけていきたいと考えております。

Q2.地産地消の取組みについて
【質問者】二木健治
山口県では、地産・地消を進めて県内のすべての産業の振興を図る、「山口県ふるさと産業振興条例」を平成20年12月、議員提案により、全国で初めて制 定、施行しました。この条例は、県内の農林水産物を味わうなど、県内で作られた製品や身近なサービスを利用し、県産品の地産・地消を、県民や事業者、県が 協働して進めることで、ふるさと産業を活性化し、地域の活力を取り戻すことを目指しています。地産・地消の取組みを進めることにより、地域内での人・物・ 情報の交流が活発になり、県産品の需要拡大や事業者の育成につながることが期待されます。また同時に、「身近な事業者から安全で安心な農林水産物や製品、 サービスが手に入れられる。」「県内の食料自給率が向上する。」「輸送に伴い排出される二酸化炭素等が減り地球温暖化の防止につながる。」などの効果も期 待できます。このため、県では、「山口県ふるさと産業振興推進協議会」を設置し、県産農林水産物などの需要拡大や、県産木材の利用促進、産学公連携による 新製品や技術の開発など、県の各組織が相互に連携しながら、地産・地消に取り組んでおられます。
そこで、「山口県ふるさと産業振興条例」制定後の具体的な取り組みについてお尋ねいたします。
次に、山口県ふるさと産業振興条例は、あくまでも消費者の自主的な判断に委ねるものであり、例え県産品を消費、使用しなくても特段の罰則規定がありませ ん。そこで、例えば民間の「Tカード」のような共通カードを作成し、ポイントや割引等の特典制度を設ければ、消費者のインセンティブも高まるのではないか と思います。今後こうした特典制度等も含めて地産地消を進めるための効果的な手法について検討し、県産品のさらなる利用促進と消費拡大に繋げていただきた いと考えますが、今後の取り組みについてお伺いします。

【回答者】商工労働部長
次に、地産地消について2点のお尋ねのうち、条例制定後の具体的な取組内容についてであります。
まず、普及啓発につきましては、条例の制定を契機とするキックオフイベントとして、昨年8月から11月にかけ、県下4箇所で「ふるさと産業フェスタ」を 開催いたしましたほか、市町や関係団体等を通じて広く県民の皆様へ「啓発リーフレット」を配布するなど、地産・地消の機運の醸成に努めてまいりました。
また、新商品の開発につきましては、昨年、地域資源活用コーディネーターを配置し、地域資源の発掘やこれを活用した商品の開発・改良を支援してきたところであります。
さらに、県産品の需要拡大を進めるため、農水産物につきましては、関係団体等と一体となった取組を強化しながら、地産・地消の推進拠点である販売協力店 の店舗数の拡大等に努めるとともに、工業製品につきましては、優れた商品を県内の企業や官公庁に紹介する「新製品フェア」や「ふるさと調達売り込みプレゼ ンテーション」等による販路拡大を支援してきたところであります。
次に、県産品の利用促進と消費拡大を図るための今後の取組についてであります。
まず、普及啓発につきましては、県産材料などを活用した製品を、今年4月に開設した地産・地消のホームページであります「やまぐちものづくり.net」やケーブルテレビの番組で紹介するなど、積極的な情報発信に努めてまいります。
また、農商工連携による県産農林水産物を活用した新商品の開発を支援するため、今年度、新たに農商工マッチングコーディネーターを配置したところであります。
さらに、県産農水産物の需要と消費の拡大に向けまして、県内の販売協力店で一斉に実施する販売促進キャンペーンを拡充するとともに、新たに、県内172の「やまぐち食彩店」で実施するスタンプラリーや、「国体弁当」の開発などを進めてまいります。
今後とも、各市町や関係団体との密接な連携の下、御提言の趣旨も踏まえ、効果的な手法の検討など、各地域の主体的な取組を促しながら、県産品の利用促進と消費拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。

Q3.水産資源の確保について
【質問者】二木健治
山口県は、本州の最西端に位置し、三方が日本海、響灘及び瀬戸内海の3つの海に開けています。海岸線の総延長は、全国第6位の1,503㎞に達し、屈曲に 富んでおり、漁港整備、水産資源の増養殖のための自然条件に恵まれています。さらに多種多様な水産資源に恵まれており、古くから漁業が盛んでした。しか し、近年、乱獲による資源の減少はむろん、漁場環境の変化や、基礎生産力の低下、魚価の低迷等、水産業をとりまく環境はますます厳しくなっています。山口 県においても、これらの諸問題を解決するための調査研究と技術開発が課題と考えます。こうした中、平成20年12月12日に北海道小樽市で行われた全国水 産・海洋系高等学校生徒研究発表大会に、県立水産高校海洋科学科3年の重永剛志さん、藤原邦彦さん、西村匡史さんが日本海南部地区代表として出場し、鉄と 炭を混ぜて作った「鉄炭団子」を使い、海中の「藻場」を再生する研究の成果を発表し、準優勝の成績となる優秀賞(産業教育振興中央会奨励賞)を受賞しまし た。研究テーマは、近年の漁獲量の減少の一因と言われている磯焼け対策の「藻場の再生プロジェクト」です。鉄イオンとヘドロが一緒になると、海草や植物プ ランクトンが栄養分として利用する物質「フルボ酸鉄」が大量に発生する可能性があることに着目し、長年「鉄炭団子」の研究に取り組んでこられた宇部市在住 の杉本幹生氏に指導を受け、「鉄炭団子」の投入を行い、鉄イオンを海中に供給して藻場が再生する様子を調査分析しました。3年に渡る研究の結果、「鉄炭団 子」により藻場が再生する可能性が高いことが判明しました。水産高校では、この調査研究を今後も継続していくにあたり、「鉄炭団子」の主な材料として使用 済みの「使い捨てカイロ」に着目し、市内の小学校などに呼びかけ各家庭の「使い捨てカイロ」を回収し、カイロと炭を混ぜた「鉄炭団子」つくりを地元の漁師 さんや小学生らと行い、海洋や環境教育にも貢献しています。そこでお尋ねですが、県では、水産資源の確保のためどのような取り組みを行われているかお尋ね いたします。次に、水産高校での「藻場再生プロジェクト」は、「磯焼け対策」として有効な方法と考えます。こうした取り組みが進められる中で、県は藻場の 再生について今後どのように取り組んでいかれるかご所見をお尋ね致します。

【回答者】農林水産部長
水産資源の確保などについての2点のお尋ねであります。

① まず、水産資源の確保のための取組についてでありますが、水産資源の確保のためには、資源の適正な管理と増殖が重要であると考えております。
このため、県では、これまで、資源管理面において、瀬戸内海のサワラや日本海のトラフグなど6つの「資源回復計画」を策定し、関係県と連携した休漁や小 型魚(こがたぎょ)の保護に取り組んできました。また、増殖のための取組として、マダイなど10種類の人工種苗を放流することにより、水産資源の管理・回 復に努めてきたところであり、こうした取組の結果、サワラやマダイなどの資源量が約1.4倍に回復するなど、一定の成果を得ることができました。
今後は、こうした資源回復や増殖の取組とともに、低迷する魚価対策にもつながる高級魚として、漁業者から要望の強いキジハタやアマダイの種苗量産化体制 の検討や、本県のみにまとまった分布が認められるカイガラアマノリの養殖技術の実用化などにも取り組み、本県の海域特性を活かした多様な水産資源の確保に 努めてまいりたいと考えております。

② 次に藻場再生のための今後の取組についてであります。
「海のゆりかご」とも言われ、魚介類の産卵育成の場である藻場の磯焼け現象は、幸い、県内では深刻な事例は認められませんが、藻場の衰退には、ウニ等の 食害動物の増加や潮流、水温、透明度の変化など、様々な要因が関与していると考えられますので、県といたしましては、海域毎の実態を調査し、その衰退要因 に応じた再生方法を講じることが重要であると考えております。
このため、昨年度から、県内4市町におきまして、国の指針である「磯焼け対策ガイドライン」に沿って、実態調査を行ってきたところです。
今後は、この調査結果に基づき、ウニの駆除とその加工利用技術の開発、藻場を保護するフェンスの設置などにより食害を防止するとともに、新たにアラメの人工採苗技術を活用して藻場の再生に取り組んでいくこととしております。
また、藻場の再生に関して、お示しの県立水産高校の取組は、全国で高く評価され、「鉄炭団子」づくりを通じて地域の多くの人々に藻場の役割や重要性につ いての認識を高めた意義は大きいと考えておりますが、鉄分が藻場に与える影響などについて、引き続き調査研究がなされることとなっておりますので、その推 移を見守りたいと考えております。

Q4.藻場等によるCO2削減対策について
【質問者】二木健治
水産高校の「藻場再生プロジェクト」は、地球温暖化の大きな要因であるCO2削減にも期待ができます。「藻場づくり」については、平成21年3月25日国 の交通政策審議会の答申で港湾におけるCO2の吸収源拡大の施策として「緑地・藻場の整備促進」が掲げられました。福岡市港湾局では、平成17年から20 年にかけてエコパークゾーンの覆砂事業により底質を改善した区域の一部に生物の多様な生息空間の創出により一層の水質・底質の改善を図るため「アマモ場づ くり」を地元の照葉小学校と連携を図りながら授業の一環で行っています。こうした中、水産高校生が行った使い捨てカイロを再利用した鉄炭団子による藻場づ くりも、小学生の環境教育や海洋教育にも役立ちます。
鉄炭団子を使った藻場づくりの取り組みは、愛媛県宇和島市の遊子漁協と遊子小学校の児童の皆さんや富山県魚津市の経田漁協と本江小学校の児童の皆さんなど 全国的な広がりを見せています。この鉄炭団子を使った藻場づくりの取り組みを関係者の理解と協力を得て、山口県から生まれた取組みとして全国に発信しては どうかと考えます。現在、最も重要な環境問題である地球温暖化は、県民誰もが身近な問題であり、その解決策の一つとして子供の頃からの省エネやリサイク ル、環境保全などの環境学習が重要です。そこでお尋ねですが、環境に配慮したライフスタイルの確立や藻場等によるCO2削減対策等に関する環境学習の推進 について県として今後どのように取り組まれるかご所見をお伺いします。

【回答者】環境生活部長
藻場等によるCO2削減対策についてお答えいたします。
環境への負荷の少ない社会づくりを進めるため、その基盤となります環境学習につきましては、県としては、これまで、平成17年に策定した「環境学習基本 方針」に基づき、環境学習推進センターを拠点に、環境情報や学習機会の提供、教材づくり、指導者の育成・派遣等の取組を進めてまいりました。
特に、お示しの子どもの環境学習につきましては、エコクラブや緑の少年隊等の活動の促進と支援に努めてまいりましたが、将来にわたって環境に配慮したラ イフスタイルを確立するためには、子どもの頃から、環境への関心や理解を深めていくことが重要であり、環境学習を一層推進していくことが必要と考えており ます。
このため、加速化プランの重点事業と位置づけ、センターを中心に、自然学習施設とも連携して、地球温暖化防止や、自然保護等に関する子ども向けプログラムの充実を図ることとしております。
具体的には、新たに、学校や地域で体験学習等を行う「移動教室」の開催や、親子を対象とした「出前環境塾」を拡充し、身近な学習機会をさらに提供してまいります。
また、県民、NPO、市町等との連携を深め、情報の共有化や環境イベントの共同開催などにより、交流・ネットワーク機能の強化を図り、地域における取組を定着させてまいります。
また、お示しの藻場は、森林と同様に、海中のCO2を吸収・固定化する機能があることから、今後、その有効性等について、「子ども環境学習プログラム」の一つとして加え、干潟環境の改善に向けた藻場の再生や観察会などの実践的な活動を促進していく考えであります。
今後とも、幅広く、地域や学校、家庭、職場等において、CO2削減など環境に配慮した自主的な取組が一層進むよう、環境学習を積極的に推進してまいります。

Q5.山口牛のブランド化について
【質問者】二木健治
宮崎県で広がる家畜伝染病、口蹄疫の影響で、山口市嘉川にある山口中央家畜市場の競り市が開催延期となっています。県内で牛を扱う家畜市場は、山口中央家 畜市場の1カ所だけで成牛、子牛市場とも5月から開催されず、今後の見通しも立っていません。この間、約700ある県内の農場のうち、約230の農場が牛 の出荷を予定していました。又、当市場の年間出荷量は、子牛約2700頭、成牛約900頭に上ります。このままでは、例え、市場が再開されても出荷延期の 影響によるセリ価格の下落や飼料代の増嵩が心配されます。こうした事態を受け、県では市場に牛の出荷を予定していた畜産農家を対象に無利子の融資制度が新 設されました。これにより畜産農家の資金繰りが少しは良くなるものと期待します。畜産業を取り巻く情勢は、担い手の減少・高齢化、国際化の進展や景気低迷 による農産物価格の低落に加え、飼料価格の高止まりにより、収益性が悪化するなど、ただでさえ厳しい状況下にあります。一方では消費者の「食」に対する安 心・安全に対する関心が強く、県内食料自給率の向上に向けた畜産物の生産拡大や高品質化のニーズが高まっています。そこで県では、肉量・肉質に加えて「お いしさ」を加味した優秀な種雄牛を造成していく「山口の牛づくり推進事業」や本県固有品種である見島牛と無角和種の増頭支援や情報発信を通じたブランド力 の強化を図る「やまぐち特産牛振興対策事業」を実施しています。本年1月29日、大阪市中央卸売市場南港市場において、「平成21年度牛肉品評会」が、黒 毛和種25頭の出品により開催されました。 本品評会は、「山口県産素牛」かつ「山口県有種雄牛産子」であることを出品条件とし、高品質な山口県産牛肉をPRすることを目的に、昨年度初めて取り組ま れたものです。そして翌月の2月19日、同じく南港市場において、「第34回やまぐち和牛枝肉共励会」が、全農山口県本部主催により、黒毛和種計37頭の 出品により開催されました。 品質を示す上物率(4~5級)が70%、歩留A格付けが83%と、山口県生産者の肥育技術が高い評価を受けました。ちなみに JA山口宇部・前田文男さんの出品が見事最優秀賞を受賞しました。私も前田さんが飼育された「宇部牛ブランド」のお肉を市内のレストランで食べましたが、 肉汁がジューシーで柔らかくおいしいお肉でした。こうした山口県産牛肉は、山口県産牛肉販売協議会で定められた“育った期間の1/2以上が山口県で、最終 肥育地も山口県である事が条件で、山口県産牛肉販売認証店舗において販売されています。山口県産牛肉は、1頭1頭についてトレーサビリティシステムで情報 が公開されている安心・安全な牛肉です。しかしながら今回の口蹄疫騒動による風評被害が心配です。口蹄疫は牛肉や豚肉を食べたり、牛乳を飲んだりしても口 蹄疫にかかることはありません。県では、口蹄疫対策や風評被害対策としてこれまでの取り組みと今後どのような対策を取られるのかお尋ね致します。
又、山口牛のブランド化を加速するために今後どのような取り組みを行うのかお尋ね致します。

【回答者】農林水産部長
次に山口牛のブランド化などについての2点のお尋ねであります。

①まず、口蹄疫対策と風評被害対策についてですが、宮崎県で疑似患畜が確認されて以降、消毒薬の配布や、無利子の「口蹄疫対策支援資金」の緊急的な措 置、種雄牛凍結精液の分散管理などに加え、口蹄疫や食肉の安全性等に関する相談窓口を設置し、県民への的確な情報提供や相談活動を行ってきました。
また、今後、万が一発生した場合、直ちに封じ込め可能となるよう、初動対応に必要な人員、家畜を埋却する場所などについて、関係市町、団体と具体的な検討を進めるとともに、長期化した場合の更なる対応についても検討するなど、口蹄疫対策に万全を期すこととしております。
さらに、県民の方々が口蹄疫に対して不安を抱くことがないよう、健康福祉センターなどの相談窓口における相談活動を継続するとともに、量販店等で不適正な表示が認められた場合、表示の是正、撤去を要請するなど、引き続き、風評被害の防止にも努めてまいります。

②次に、山口牛のブランド化についてであります。
県産牛のブランド化を進めるためには、肉質と肉量に優れた肉用牛を安定的に供給するとともに、市場関係者等に対して県産牛の品質等を積極的にPRするなど、市場における評価を高めることが重要であります。
このため、本県では、生産者団体と連携して、優れた産肉能力を有する種雄牛を育成することにより、現在、3頭の優良な種雄牛を保有しており、さらに、この種雄牛を使った計画的な交配に取り組むなど、品質の高い子牛の生産と肥育技術の確立に努めているところであります。
こうした取組により、お示しの品評会で流通関係者から牛肉の品質や格付けを高く評価され、さらに、全国大会でトップレベルの成績を獲得するなど、着実に成果が上がっているところであります。
今後は、中長期的な視点に立って、現在の種雄牛と、これまで選抜してきた350頭の優秀な繁殖雌牛とを交配させ、より能力の高い繁殖雌牛群を整備することとしております。
さらに、これまでの肉質、肉量の改良に加え、新たに、脂肪の質や風味などの牛肉の美味しさに影響を及ぼす遺伝子に着目して、その遺伝子を保有する次世代の種雄牛も計画的に育成することとしております。
県といたしましては、これらの取組に加え、関係団体等と連携して、全国和牛能力共進会などへ計画的に出品し、全国的な評価の獲得を目指すとともに、様々な機会を通じて、県内外に県産牛肉の良さを積極的に発信することにより、県産牛のブランド化を加速してまいります。

Q6.土地差別調査事件について
【質問者】二木健治
6月9日全日本同和会山口県連定期大会が、「子らにはさせまいこの思い」の大会スローガンのもと山口県立図書館で開催されました。私は毎年参加をしてお り、大会を契機に差別の解消を目指す決意もあらたにしました。こうした中、昨年、京阪神を中心に計画された民間のマンション建設で予定地の地域性や価格帯 の調査を請け負った複数のマーケティングリサーチ会社が、予定地周辺にある在日外国人の集落やいわゆる同和地区、又、精神病院や重度障害者の施設が多い地 域を「不人気エリア」や「敬遠されるエリア」などの差別的な表現で記載した報告書をマンション開発業者等に提出していたことが明らかになり問題となりまし た。公共性が高い大手メディア企業の100%子会社である広告会社も関与していたことは、社会的責任が重いと言わざるをえません。昭和50年にダイレクト メールを使って企業などに差別図書である地名総監が販売されていることが明らかになり大問題となりましたが、今回の事件は、第二の地名総監に繋がりかねま せん。平成15年に行われた大阪府の不動産取引に関する調査によると「同和地区かどうかの問い合わせを受けたことがありますか」という質問に「府民や宅建 業者から受けた」と答えた不動産業者が41%あり、さらに「同和地区であるから」と不動産取引が不調になった経験がある業者が、18.9%である事がわか りました。叉、取引価格について「取引物件が同和地区であるという理由で物件価格に影響したことがありますか」との質問に「価格に影響したことがある」 「下がった」と答えた業者は36.8%でした。大変ショッキングな数字です。山口県では、このような調査は行われていませんので実態は分かりませんが、差 別意識によって不動産価格が下がるのは問題です。不動産の取引は、宅地建物取引業法第47条により、故意に事実を告げず、又は、不実のことを告げる行為を 禁じています。
そこで不動産業者の中には、差別的な情報に関しても伝えないことは、宅建業法違反になるのではないかと間違った認識を持つ業者もいるのではないでしょう か?今年の5月18日衆議院国土交通委員会において、前原国土交通大臣は、「業者から宅建業法違反になるかどうかの問い合わせがあった場合に、なんと回答 するか」と各県に調査したところ、42都道府県が明確に宅建業法に違反しないと回答したが、5県があいまいな回答をしたとの調査報告を明らかにし、指導徹 底すると答弁をされています。山口県はじめ42都道府県は、明確に回答をされましたが、残りの5県に対しては、指導する立場の県が、この程度の認識なのか と驚きと怒りを隠せません。このような差別的な情報については、当然伝えてはならないわけで、国や県による指導徹底や業界内の人権研修が必要であると考え ます。
そこで、山口県内の不動産取引においてこのような差別的な事例があるかどうかお尋ね致します。又、このような差別的な情報の取り扱いについて宅建業界に対して県はどのように指導をしているのかお伺いします。

【回答者】土木建築部長
土地差別調査についての2点のお尋ねです。
まず、お示しのような差別的な事例については、県では苦情や相談も受けておらず承知をしておりません。
次に、宅建業界に対する県の指導についてです。
不動産取引において、宅建業者が、取引相手から同和地区の存在についての質問に答えないことは、宅地建物取引業法第47条に抵触しない旨を、本年5月18日の衆議院の国土交通委員会において、国土交通大臣が答弁をしているところです。
県では、宅建業者からの問い合わせに対して、差別的な情報を伝えないことは法に抵触するものではない旨を明確に回答しておりますし、山口県宅地建物取引 業協会が年に5回開催する宅地建物取引主任者に対する法定講習において、従前より、基本的人権の尊重についての周知を図っているところです。
県としましては、今後とも引き続き、宅建業界に対して、機会をとらえて基本的人権の尊重に関する啓発に努めてまいります。

Q7.新・県政集中改革プランについて
【質問者】二木健治
地方が真に自立できる分権型社会の実現に向けて、地方の役割や責任は、これまで以上に大きくなっており、県においてもさらなる行財政改革の取り組みが必要 であります。県は、昨年3月の2008年度から2012年度までの5ヶ年計画で取り組む「新・県政集中改革プラン」を策定されました。プランでは、財政改 革、行政改革、そして公社改革の3つが大きな改革の柱となっておりますが、その内、行政改革では、定員管理が具体的な取り組みの一つとして掲げられていま す。定員管理の具体的な内容は、職員数を2013年4月までに2008年4月を基準として1、585人、7.5%削減し、19、619人とする事となって います。各部門毎の定員管理目標は、一般行政分野においては、組織や事務事業の見直しにより435人の削減、教育部門では、児童・生徒数の減少や学校の統 廃合により403人の削減となっております。又、警察部門のうち、一般職員は、引き続き職員数の削減に取り組むことにより40人の削減、警察官は、厳しさ を増す治安情勢に的確に対応するため、国の配置基準を踏まえた適正な人員配置に努めながら、9人の減となっております。公営企業管理部門のうち、県立病院 は独立行政法人化を検討しているため、664人全員の削減を見込み、企業局については、外部委託の推進などにより11人の削減となっております。県におか れては、このように「新・県政集中改革プラン」に沿って改革の取り組みを着実に進め、分権型社会に対応できる組織・体制を築いて行くことが重要であると考 えております。そこでお尋ねですが、行政改革の主要な課題である定員管理について目標の実現や、人材育成など組織の活性化に向けた取り組みについてご所見 をお伺いします。

【回答者】総務部長
「新・県政集中改革プラン」について、定員管理等のお尋ねであります。
お示しもありましたように、県におきましては、昨年3月に策定した「新・県政集中改革プラン」の中で、分権型社会に対応できる、簡素で効率的な行政運営を確立するため、県の各部門ごとに定員管理の具体的な数値目標を定め、鋭意、その取組を進めているところです。
このうち、一般行政部門におきましては、これまでに出先機関の再編整備や総務事務の集中化などによりまして、平成20年度からの5年間で435人、 10%を削減する目標に対しまして、20年度、21年度の2年間で、297人、6.8%を削減し、既に計画の7割程度を達成しています。
また、教育部門や警察部門を含む県全体におきましても、1,585人、7.5%の削減目標に対しまして、744人、3.5%を削減し、計画の5割程度を達成しており、その取組は着実に進捗しているところであります。
さらに、今後、県政集中改革の取組を強化する中で、指定管理者制度の導入施設の拡大や外部委託の推進、さらには県立病院の地方独立行政法人化など、組織や事務事業の徹底した見直しを通じまして、定員の計画的な削減に努め、目標の確実な実現を図ってまいります。
また、限られた職員で、県の政策目標の実現を図っていくためには、その担い手となる職員の人材育成は重要な課題であります。
このため、本県では、平成20年3月に策定した「人材育成基本方針」に基づきまして、人事評価制度による能力本位の人事管理や、職員の主体的な能力開発 を促す職員研修の充実など、体系的な取組を進めており、今後とも、人材育成に積極的に取り組み、組織の活性化に努めてまいります。