平成26年6月定例県議会における私の一般質問の答弁書ができましたので掲載します。

H26一般質問

自由民主党の二木健治です。一般質問のトリを務めさせて頂きます。
皆様大変お疲れのことと思いますが、しばらくご清聴の程よろしくお願い申し上げます。

さて村岡知事は、2月23日に行われました県知事選挙において3人が立候補する厳しい選挙戦にもかかわらず広く県民の皆様の支持を得られ勝利を収められました。心からお慶びを申し上げます。
村岡知事がこのような勝利を収められましたのは、県民の皆様が知事の総務省や地方自治体における行政経験や、卓越した識見、行動力を高く評価されたものと確信しています。

知事の優れた行動力を示すエピソードがあります。
村岡知事は、平成20年5月に発災した中国・四川大地震の際、国際消防救助隊の総括官として、余震の続く危険な状況下で救助活動を指揮されました。
地震発生からすでに72時間経過し、残念ながら生存者の救出には至りませんでしたが、13名のご遺体を発見し、収容されました。27歳の若い母親と生後2ヶ月の乳児のご遺体を収容する時には、隊員が一列に整列し、敬礼をする姿が中国のテレビやメディアに紹介され、その厳正な規律と真摯な態度が世界中で賞賛を浴びました。後日、北海道洞爺湖サミットに来日された中国の胡錦涛国家主席から直接感謝の意が示されるなど、日中の友好関係の強化にも貢献をされました。こうした卓越したリーダーシップで県民の安全・安心づくりはもとより、「活力みなぎる山口県」の実現に全力で取り組んでいただけるものと期待しています。

それでは通告に従い順次質問いたします。

1.高潮・津波対策について
2.子育て支援について
3.国際バルク戦略港湾について
4.山口宇部空港の国際化に向けた強化について
5.中山間地域の振興について

Q1-1. 高潮・津波対策について お尋ねいたします。
2013年11月フィリピンを襲った台風30号は、中心気圧895ヘクトパスカル、中心付近の最大風速65メートル(最大瞬間風速90m)という猛烈な暴風雨により4mを超える高潮が襲い、死者1万人とも言われる甚大な被害が発生しました。専門家の間では、近年の気温や海水温の上昇に伴い、近い将来、日本にも強い勢力の台風が上陸し、同じような、もしくは、より高い高潮が起きる可能性があるといわれています。
高潮の高さというのは、風速の2乗に比例するため風速が2倍になると4倍になります。これを吹き寄せ効果と呼びます。又、台風の気圧が1ヘクトパスカル低下すると海面は約1cm上昇します。50ヘクトパスカル低下すると約50cm上昇します。これを吸い上げ効果と呼びます。一般的には、吹き寄せ効果の方が、影響が大きくなります。この2つの効果を合わせたものを潮位偏差と呼びます。本州の最西端にある山口県の海岸線の延長距離は約1500kmと全国で6番目に長い海岸線を有しています。特に周防灘沿岸は、比較的大きな河川が流下し、低い平地や干拓地が多く、入江や湾が南向きであるため、台風による吹き寄せ効果により海水が流れ込みやすく、逃げにくいので高潮の危険性が高く、過去にも大きな被害が出ています。昭和17年の台風16号(周防灘台風)は、中心気圧950ヘクトパスカル最大風速34.2m(最大瞬間風速37.8m)で、死者・行方不明者794人、負傷者559人、全壊住宅4,986棟、半壊住宅9,060棟の甚大な被害が発生しました。
最近では、平成11年の台風18号が、中心気圧960ヘクトパスカル、最大風速が40m(最大瞬間風速58.9m)で死者・行方不明2人、負傷者184人、全壊住宅82棟、半壊住宅993棟の被害が発生しました。
村岡知事の地元である宇部市も9、967棟の住宅が浸水被害を受けました。
そこで山口県も海岸防護施設の整備や施設整備基準を超える高潮被害を想定したハザードマップを作成し、地域住民の防災意識の向上に役立っています。その想定となったのが、昭和20年の枕崎台風等です。しかし、枕崎台風の中心気圧は、935ヘクトパスカル、最大風速は、23.2m(最大瞬間風速37.1m)で潮位偏差が2.5mでした。これをこの度のフィリピンの台風30号の規模で計算すると吸い上げ効果で118cm上昇し、吹き寄せ効果で634cm上昇し、潮位偏差はなんと7m52cmとなります。
ハザードマップの想定の見直しが焦眉の急ではないでしょうか?
あわせて近い将来起こると想定される南海トラフ巨大地震に伴う津波被害のハザードマップの作成も喫緊の課題となります。こうしたハザードマップの整備にあたっては、作成主体である市町への技術面等での県の積極的な支援が求められると思います。そこで今後、県は高潮ハザードマップの見直しと津波のハザードマップ作成にどのように取り組まれるのかお尋ねいたします。
又、護岸や堤防、排水機場などハードの施設整備や既存施設の適切な維持管理など中・長期的な高潮・津波対策にどのように取り組むのかお尋ねいたします。

A. 高潮・津波対策についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、高潮ハザードマップの見直しと津波ハザードマップの作成についてです。
県では、これまで、本県を襲った過去最大クラスの台風を基に被害を想定し、高潮ハザードマップを市町と連携して整備してきたところですが 、近年、海水温の上昇に伴い大型化した台風等による大規模水害の発生が懸念されております。 こうしたことから、現在、国において、従来の経験や予測を超える巨大台風等による災害リスクを踏まえた「水災害分野に係る気候変動適応策のあり方」の議論が進められており、お尋ねの高潮ハザードマップの見直しについては、その動向を注視しながら、今後、検討してまいります。 また、津波ハザードマップの作成については、県では、南海トラフ巨大地震等で想定される最大クラスの津波による浸水想定を、昨年12月に公表したところであり、今後は、作成主体である市町に対して、避難所設置の目安となる基準水位やマニュアルの提供、防災・安全交付金の活用などの支援を行ってまいります。 次に、 施設整備や既存施設の適切な維持管理など中・長期的な取り組みについてです。 県では、これまで高潮対策を優先して整備を進めてきたところですが、今後は、施設計画の基となる津波高を新たに設定し、高潮と津波に対する防護機能を併せ持つ施設の整備を進めてまいります。 また、既存施設の老朽化による維持管理費の増大や機能の低下が懸念されている中、長寿命化計画に基づく効果的な維持管理に取り組み、費用の縮減や平準化を図るとともに、長期的な施設の機能保持に努めてまいります。

Q1-2.次に高潮・津波等災害時における住民の避難についてお尋ねいたします。
平成11年台風18号による高潮災害時における宇部市床波住民の避難行動と防災意識についての山口大学工学部による調査報告があります。
それによると浸水被害が100%発生した沿岸部の住民の避難実施率は、33%で、同じく100%浸水した沢波川沿いの住民の避難実施率は、10%でした。次に、82%が浸水した床波駅周辺の住民の避難実施率は6%しかなく、全体でも8%しかありませんでした。
避難行動を起こさなかった理由として「自宅に被害が出るとは思わなかった」という理由が一番多く69%ありました。「避難するのが面倒だった」が2%、「何事があっても自宅から離れたくなかった」が3%、「体調が悪く動く事が出来なかった」も1%ありました。次に、避難行動をした住民に避難途中で危険を感じたかとの問いに対して60%の人が危険を感じたという回答がありました。これは、台風が通過している最中での避難開始であり、「飛んできたものにぶつかりそうになった。又、ぶつかった。」「風や雨で転倒しそうになった」との回答がありました。いずれも避難行動の遅さによるものでした。
又、ハザードマップの認知度は26%程度でした。この調査の結果、台風18号による高潮災害では、避難を行った人が少なく、避難の遅れが明らかになりました。住民の防災意識も低く、より一層の啓発活動が必要と思われます。又、本格的な高齢社会を迎え、災害弱者である高齢者の安全な避難誘導が重要な課題となります。内閣府が平成22年11月に行った「避難勧告・避難指示に関する住民向けアンケート調査」におきましても避難準備情報・勧告・指示の違いを認識していない住民が4割以上に上るとのデータもあります。避難に関する知識を住民へ周知徹底することが求められます。
そこで県では住民の安全な避難についてどのように取り組むのかお尋ねいたします。

A.高潮・津波対策についてのお尋ねのうち、災害時における住民の避難についてお答えします。
高潮・津波等の災害から、県民が迅速かつ安全に避難できるよう、県では、避難勧告等発令マニュアルの策定や、ハザードマップの整備などの市町の取組を支援するとともに、防災ガイドブックの作成等を通じて、県民の防災意識の醸成を図ってきたところです。こうした中、東日本大震災等の教訓を踏まえ、国において、災害対策基本法の改正や、避難勧告等に係るガイドラインの見直しが行われたところであり、県におきましても、住民の安全な避難に向けて、一層の取り組みを進めることとしています。具体的には、市町が、的確な避難勧告等を発令できるよう、地域の実情に応じた客観的な判断基準の策定を支援するとともに、実際に、市町が発令を判断する際には、必要に応じて、技術的な助言も行うこととしております。お示しの、災害時に支援が必要な高齢者などの避難誘導につきましても、要支援者名簿の作成等、市町の取組が進むよう支援してまいります。また、こうした取組に加え、住民の早期避難には、県民一人ひとりの防災意識を一層高めることが重要でありますことから、県としましても、引き続き、防災講演会等の開催を通じ、避難に関する正しい知識の普及に努めるとともに、「地域コミュニティ防災活動推進事業」を創設し、高齢者等の避難誘導等を含めた、自助・共助による地域防災力の向上を図ることとしています。こうした取組を通じ、市町との緊密な連携を図りながら、住民の安全な避難に向けた対策の更なる充実強化に努めてまいります。

Q2.子育て支援についてお尋ねいたします。
まず子育ての相談体制の充実についてお尋ねいたします。
県では、県下5つの児童相談所を設置し、子育てに悩む保護者の相談を受け付けています。平成24年度に児童相談所が受け付けた児童相談は、4,326件におよび3年間で31%の増加となっています。特に相談の増加率が高いのが児童虐待を含む養護相談で約1.5倍となっています。
不登校や性格行動上の問題を相談する育成相談も約1.4倍と大幅に増加しています。地域的には、宇部市や山陽小野田市の相談が増えています。
児童相談所では、受けた相談について児童福祉司による社会診断、児童心理司による心理診断、医師による医学診断、一時保護所の児童指導員や保育士などによる行動観察などを行っています。これらの診断に基づいて児童、保護者、関係者などへの必要な助言、指導を行い、必要に応じて施設入所や里親への委託など児童に最も適切な援助方針を作成します。場合によっては中央児童相談所に併設した一時保護所において緊急保護も行っています。
平成17年4月からは、児童相談所の勤務時間外に虐待など緊急の相談について24時間365日体制で対応しています。不登校児童やひきこもり児童に対しては、通所や入所などの方法により助言、指導を行い、児童の自主性や社会性の向上を図っています。さらに心身に障害のある乳幼児の早期発見、早期療育のために専門医師や関係機関の協力を得て心身障害児総合療育機能推進事業や1才6ヶ月児及び3才児の精神発達精密健康診査や事後指導などを行うとともに療育手帳や特別児童扶養手当などの判定を行います。
県では児童相談所の体制整備について児童福祉司の増員や職員の資質向上に取り組んでいますが、特に児童心理司は、療育手帳の判定や障害相談増加への対応や養護相談、育成相談などに関して治療的なアプローチを担うなど量的、質的にも充実が喫緊の課題です。又、相談件数が増加する宇部市駐在の拡充が求められます。そこで県では子育て相談の拠点である児童相談所の充実についてどのように取り組むのかお尋ねいたします。
次に児童養護施設や里親制度の充実についてお尋ねいたします。
全国的に児童虐待にかかる事件が後を絶ちません。児童虐待のほとんどが、家庭内で発生し、かつ、複雑な背景を持つことから発見から解決に至るまでに多くの難題を伴っています。児童虐待の相談には、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、保護の怠慢や拒否(ネグレクト)などがあります。又、保護者の家出・失踪・死亡、離婚、入院、服役などによる養育困難児、後見人を持たぬ児童など児童虐待相談以外の家庭環境に問題を持つ児童や養子縁組に関する相談があります。こうした児童が社会的養護を受ける環境として、児童養護施設や里親制度があります。県下には、児童養護施設が10ケ所、乳児院1ケ所、里親登録が135世帯となっています。しかし、どの施設も国や県が負担する運営費の補助だけでは十分といえない状況だとお伺いしております。昨今、アニメのタイガーマスクで主人公を演じる伊達直人が施設の出身という事に因んで伊達直人名義でランドセルなど善意のプレゼントをする方が多くおられます。心温まる話で施設の子供たちにとってはとてもうれしい支援です。しかし、こうした善意だけでは養護施設の持続的な運営は成り立ちません。
施設などに入っている子供たちが安心して暮らせるために、国や県の一層の支援が必要だと考えます。そこで、親や保護者から虐待を受け、心身ともに傷ついた子どもたちの受け皿である児童養護施設や里親制度の充実についてどのように取り組むのかお尋ねいたします。

A.子育て支援 についての2点のお尋ねにお答えします。
①まず、子育ての相談体制の充実についてです。
近年、児童相談所における相談件数が増加する中、専門的な相談体制の強化が重要な課題であることから、県では、平成25年度に児童福祉司3名を増員するなど、職員体制の充実に努めてきたところです。しかしながら、相談内容が複雑・多様化していることから、お示しのように児童相談所の相談体制の一層の充実が必要と考えています。このため、まず、児童相談所を他の福祉相談機関と統合し、専門職員の充実や一時保護所を拡充するなど、相談支援機能を強化するとともに、処遇困難事例に的確に対応するため、専門研修の受講により、児童福祉司や児童心理司の資格、資質の一層の向上を図ってまいります。
お示しの宇部市駐在については、相談件数が増加傾向にあったことから、昨年度、児童福祉司を1名増員したところであり、その拡充については、今後の相談件数等の推移を見ながら検討してまいります。
②次に、児童養護施設や里親制度の充実についてです。
虐待など家庭での養育が困難な児童の社会的自立に向けて、児童養護施設や里親による支援は重要と考えています。このため、児童養護施設や里親制度の運営を支える措置費については、これまで社会情勢の変化に応じて必要な拡充が行われてきたところですが、なお一層の充実を図る必要があることから、知事会等を通じて職員配置基準の充実や加算措置の拡充などを、引き続き国に要望してまいります。さらに、児童入所施設連絡協議会等からの要望が強かった就職を支援するための運転免許の取得費については、県単独で補助することとし、このたびの補正予算に計上したところです。県としましては、今後とも、児童相談所の体制整備や施設等における養育環境の一層の充実を図り、子どもの安心・安全の確保と健全育成に努めてまいります。

Q3.国際バルク戦略港湾についてお尋ねいたします。
経済のグローバル化が進展する中、世界の海上輸送量は、年々増加しており、輸送の効率化の観点から船舶の大型化による大量一括輸送が進展しています。
また、国民生活に欠くことのできない資源・エネルギー・食糧の確保が大きな課題となっています。この為、鉄鉱石、石炭、穀物等のバルク貨物を取り扱う港湾の国際競争力を強化する必要があります。そこで国は、2009年12月第1回国際バルク戦略港湾検討委員会を立ち上げ、合計15回の委員会開催を経て2011年5月31日、徳山下松港・宇部港を石炭の国際バルク戦略港湾に選定しました。この選定を受け県では、同年8月に実施計画となる育成プログラムを作成し、国に提出しました。その育成プログラムにおいては、2015年までにパナマックス級船舶(9万トン)、2020年までにケープサイズ級船舶(18万トン)による2港揚げ輸送を行うとあります。
一方で、世界の海運情勢も大きな変化を迎えています。
現在パナマ運河は、2007年から52億5000万ドルをかけて大型の閘門を備えた3本目の水路を建設する拡張工事中です。2015年に完成すると船舶最大許容サイズは、パナマックスと呼ばれる船幅32.3m、全長294.1m、水深12mからポストパナマックスと呼ばれる船幅49m、全長366m、水深15mへと大型化します。これに合わせてアメリカ東海岸とメキシコ湾岸の主要10港は、今後数年間で計110億ドル以上をかけて浚渫、ターミナルの改良、超大型クレーンの増設を計画しています。
こうした国際競争に負けないためには、国際バルク戦略港湾の早期実現が必要です。こうした状況の中、国際バルク戦略港湾の実現にあたり、平成25年の港湾法改正により制度化された特定貨物輸入拠点港湾への指定に向けた対応のほか、大型船が随時入出港できるよう、背後企業などから求められています。
具体的には、宇部港においては、パナマックスなど大型船の潮汐利用による入港を余儀なくされており、干潮時の入港ができません。
そこで満潮になるまで石炭を積んだ船舶は、沖合の泊地で入港を待たなければなりません。物流コスト削減のためには、潮汐利用によらないで入出港できる航路の確保が必要ですし、こうした水深を含めた港湾計画の見直しも必要だと考えています。また、東日本大震災の教訓を踏まえ津波時に船舶が速やかに出港できるよう岸壁前面の航路・泊地の水深の確保も求められており、この整備に当たっては多額の経費を要すると聞いております。そこで県では、国際バルク戦略港湾の実現に向けて、これまでどのような取組をされてきたのか、また、今後、企業などからの要望等も踏まえ、育成プログラムに沿った予算の確保も含めて、どのように取り組んでいこうとするのか、併せてお尋ねいたします。

A.国際バルク戦略港湾についての2点のお尋ねにお答えします。
本県の瀬戸内産業の再生強化を図るためには、輸送の効率化による物流コストの削減が不可欠であることから、大型船舶を活用した一括大量輸送を目指す国際バルク戦略港湾の整備を、重点的に進めているところです。
お尋ねのうち、まず、これまでの取組についてです。
国際バルク戦略港湾については、2015年までのパナマックス級船舶の入港を実現するため、徳山下松港の新南陽地区で水深12m、宇部港で水深13mの航路・泊地の整備を進めてきました。また、こうした施設整備に加え、企業間連携が重要であることから、関係企業7社で構成する連携協議会において、共同配船等の検討を行うとともに、2港揚げの実現に必要となる大型船舶の航行安全対策等に取り組んでいるところです。
次に、今後の取組についてです。
国際バルク戦略港湾の目標である2020年のケープサイズ級船舶による2港揚げを実現するため、徳山下松港では、浚渫土砂の受入れ先となる埋立護岸が昨年度、完成したことから、今年度、徳山地区において、水深14mの航路・泊地の整備に着手したところであり、今後とも、育成プログラムに沿った整備を着実に進めてまいります。また、宇部港では、引き続き、水深13mの航路の整備を進めるとともに、お示しの岸壁前面の航路・泊地についても、国の制度を活用した整備を図ることとしており、港湾計画の見直しについても、今後、取扱貨物量の動向や企業ニーズを十分踏まえ、検討してまいります。
県としては、これらの取組に併せ、特定貨物輸入拠点港湾への指定や税財政上の支援措置拡充、予算の確保など、国に精力的に働きかけ、今後とも、国際バルク戦略港湾の計画実現に向けた取組を推進してまいります。

Q4.山口宇部空港の国際化に向けた強化についてお尋ねいたします。
国内の景気は、アベノミクスの効果などから大企業の業績改善を中心に、明るさが増してきているところでありますが、地方の景気は、回復には向かってはいるが、依然として、厳しい状況が続いているとの報道などがあります。
私の地元においても、本年4月、1927年創業の老舗旅館が、破産手続きの開始決定を受け倒産しました。この旅館は、瀬戸内海の海鮮を使った料理が評判で業績は順調に推移していましたが、長引くデフレ不況による宿泊客数の減少に加え、近隣施設との価格競争の激化で業績が悪化し、事業の継続を断念されたとのことであり、宇部市の顔ともいえるこの老舗旅館の倒産は、地域経済に与える影響も大きく非常に残念でなりません。このため、私は、地域経済の活性化を図ることが最重要課題ではないかと考えております。
こうした中、県では、「やまぐち産業戦略推進計画」の重点戦略である、「おいでませ!宿泊者数500万人戦略」において、平成28年までに年間延べ宿泊者数500万人、外国人延べ宿泊者数8万人を目標に掲げ、観光力の強化に取り組まれているところであります。また、山口県の空の玄関口の1つである山口宇部空港を擁する地元市においても、県や関係団体である山口宇部空港利用促進振興会などとともに、同空港の利活用を呼びかけ、積極的なセールス活動に取り組んでいるところであり、こうした県、地元市や関係団体が連携した取組を通じて、国内外の交流人口の拡大を図ることが、私は、地域経済の活性化につながる取組として望ましいことと考えております。
この県や関係団体の取組などが実を結び、本年1月10日から2月2日までの間、週3回、韓国仁川国際空港から山口宇部空港初の国際連続チャーター便として11往復が運航され、韓国からの約1500人の旅行客が、2泊3日及び3泊4日のスケジュールで萩や秋芳洞・秋吉台、下関などの県内の観光地を巡り、旅館やホテルに宿泊し、温泉やふく料理など日本食を堪能されたことは、外国人誘客の成果に挙げられると思います。
これまでも、県は、2003年からチャーター便運航促進協議会を組織して国際チャーター便の運航を促進し、一定の成果を上げてこられましたが、山口宇部空港初の試みである今回の国際連続チャーター便運航の成果は、将来の国際定期便の就航につながるものと地元では大きな期待をしています。
そこでお尋ねします。
山口宇部空港の国際化に向けた強化を図るために、国際定期便の就航を実現させることが必要と思いますが、今後、どのように取り組むのかご所見をお伺いいたします。

A.山口宇部空港の国際化に向けた強化についてのお尋ねにお答えします。
山口宇部空港の国際化を推進することは、本県における新たな交流人口の創出につながり、地域経済の活性化に資するとともに、当空港の利用促進や本県が進める外国人観光客の倍増に大きく寄与することから、将来にわたり元気な県づくりを進める上で、大変重要であると考えています。 このため、県では、これまで地元企業等で構成する「山口宇部空港利用促進振興会」や、県内の旅行代理店・航空会社等で構成する「山口宇部空港チャーター便運航促進協議会」と連携をし、東アジアを中心に、国際チャーター便の運航促進に取り組んでまいりました。 こうした取組が実を結び、山口宇部空港では、これまでの単発チャーター便のみの運航に加えて、本年1月には、お示しのように、韓国との間で約1箇月間、週3往復の連続チャーター便が初めて運航され、1,466名の旅行者をお迎えしました。県内宿泊は延べ2,700泊を超え、宿泊や飲食、買い物などで相当の経済効果があったところです。また、旅行者へのアンケート調査では、8割を超える方が旅行に満足されており、韓国での「山口」の知名度が向上し、旅行先として浸透しつつあるものと考えています。
この連続チャーター便は、海外からの乗客のみでしたが、お尋ねの国際定期便の就航に向けては、双方向での旅客需要が前提となりますことから、海外への旅行者も利用できる、双方向での連続チャーター便運航を促進し、その利用実績をもとに、定期便化を航空会社に働きかけることが必要となります。
このため、今回の補正予算におきまして、連続チャーター便を活用した旅行商品を造成する国内外の旅行会社を対象とした支援制度を創設し、本県初となる双方向での連続チャーター便の運航実現に取り組むこととしたところです。
私は、今後とも、連続チャーター便等の運航実績を積み重ねるとともに、海外での観光プロモーション活動の充実を図るなど、当空港における将来の国際定期便の実現に向けた取組を強化してまいります。

Q5.中山間地域の振興についてお尋ねいたします。
人口減少や高齢化の進展で中山間地域では、小規模・高齢化集落の増加や担い手不足が顕著になるなど取り巻く環境は一段と厳しさを増しており、地域で暮らす高齢者の生活や福祉をいかに支えていくかが大きな課題となっています。
こうした課題を解決していくためには、それぞれの地域が持つ強みをしっかりと活かしながら、中山間地域が自立していける仕組みをつくることが、なによりも重要ではないでしょうか。ここで、厳しい状況にあった中山間地域が活性化に成功した事例をひとつ紹介したいと思います。
その町は、人口が、1859人と四国地方で一番小さな上勝町です。
高齢化率は49.38%で、過疎と高齢化に直面する典型的な中山間地域です。
1981年の異常寒波で特産品のみかんが全滅する被害を受け、この危機を突破すべく考えられたのが、料理の「つまもの」として使う葉っぱや花、枝などを出荷する「彩(いろどり)事業」でした。調査研究の結果、顧客が求める品目を時期と数量ともに的確に出荷しなければ、葉っぱは「つまもの」とはならないと知ったそうです。そこで「つまもの」の注文情報、市況などの共有化を図る情報ネットワークシステムづくりを行い、現在では、タブレット端末で翌日の出荷情報だけでなく、各農家の売上高や売り上げ順位なども情報提供し、農家の生産意欲を高めています。こうした努力が実を結び、生産農家も、当初たった4軒でしたが現在は194軒になり、2003年度には売上高も2億円を超えています。そして、「彩事業」のお陰で、地元の高齢者の方々が収入を得るのみならず、毎日豊かな自然あふれる野外に出て働くことが生きがいになり、いつまでも元気で生活しているなど、上勝町自体が活性化しており、まさに中山間地域の自立に向けたお手本ともいえる事例となっています。
本県の中山間地域においても、こうした地域活性化に成功した地域がうまれてくることを切に期待しています。さて、本県においては今年度、中山間地域において県職員が現地に赴き、地域資源の発掘や特産品の開発など地域の活性化に向けた取り組みを支援する県庁中山間応援隊が結成されました。
そして、6月2日には、結成後初となる地域支援活動が、周防大島町和田地区で行なわれ、体験型教育旅行の受け入れを通じた地域活性化など地域で進められている取り組みに関し、課題の解決方法等について活発な意見交換が行われております。さらには、今議会には中山間地域の自立に向けた取組の支援についての所要の補正予算案が提出されるなど、県のこうした取組に対しては、心から敬意を表するものであります。しかしながら、本県の中山間地域は、更なる人口の減少や高齢化などが予想されるなど、大変厳しい状況にあります。
地域が自立していくためには、まずは、それぞれの地域や市町がこれまで以上に頑張っていくことが重要でありますが、県も地域の実態や意欲に即した、きめ細やかな支援を市町と連携しながら組織をあげて取組んでいくことが必要ではないかと考えます。
そこでお尋ねですが、地域の自立を促す中山間地域の振興にどのように取組まれるのかお尋ねいたします。

A.中山間地域の振興についてのお尋ねにお答えいたします。
人口減少や高齢化など大変に厳しい状況の中、中山間地域の自立を進めていくためには、地域住民自らがそれぞれの地域の強みを活かしながら、地域が抱える様々な課題の解決に主体的に取り組んでいくことが重要であります。このため、県では、庁内関係課が連携し、市町と一体となって、地域の将来計画を住民自らが策定する、「地域の夢プラン」づくりを促進するとともに、その実現を目指す実践的な活動に対し、専門のアドバイザー等の派遣や、交流拠点施設、農産物直売所等の整備への助成を行うなど、住民による自主的な地域づくりに向け、ハード・ソフト両面からきめ細かな支援を行っているところです。 現在、県内53の地域において「地域の夢プラン」が策定され、その下で、地域を元気にする活動が展開されており、今後、県内各地域で活発な取組が広がるよう、更なる支援に努めていきたいと考えています。 また、お示しのような、地域の資源を活用して地域が自立していける仕組みづくりに向け、6月補正予算では、企業・大学等の外部からの人材を活用した地域づくりや、未利用資源を活かした新たな交流産業の創出、6次産業化と農商工連携の一体的な推進など、地域の課題や特性を踏まえた積極的な取組に対し、更なる支援措置を講じることとしています。 県といたしましては、今後とも、市町や地域と連携・協働しながら、地域の実情に即した意欲的な取組をきめ細かく支援することにより、地域の自立を促す中山間地域の振興に取り組んでまいります。