山口・島根豪雨災害ボランティア

おはようございます。

自由民主党の二木健治です。
まずもって7月28日の山口・島根豪雨災害でお亡くなりになられた皆様のご冥福と被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。発災後、県におかれましては、いち早く災害対策本部を立ち上げ、人命救助や、災害復旧に迅速に取り組まれました。
又、多くの県民の皆様や県職員の皆様が、被災地でボランティア活動に取り組まれました事に深甚なる敬意と感謝を申し上げます。
実は、私も山口市阿東徳佐に1日だけですが、ユンボで民家の側溝の土砂を取り除くボランティアに行ってきました。
平成21年豪雨災害の時にも大勢のボランティアの皆様が、民家の土砂の撤去などのお手伝いをされました。道路や公共施設の土砂やがれきなどの除去は、行政が行いますが、私有地の敷地内や家屋内の土砂などの除去は、基本的に行政は行うことができません。そこで、ボランティアの皆様が頼りになります。
しかし、人力で土砂の撤去を行うのは大変な作業です。そこで、私は、災害ボランティアを行うため2年前にユンボの免許を取得したのですが、今回役に立ちました。
ボランティアを行いながら被災者の皆様のお話を聞き、あらためて豪雨など自然の脅威を実感しました。
平成25年6月21日に改正した災害対策基本法の第4条に「都道府県の責務」として、「当該都道府県の地域並びに当該都道府県の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該都道府県の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、その区域内の市町村及び指定地方公共機関が処理する防災に関する事務又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行う責務を有する」とあります。
今後とも県民の皆様の生命財産を守るため「安全・安心の山口県づくり」に一生懸命取り組んで参ります。
それでは通告に従い、順次質問を行います。

1.山口・島根豪雨災害の復興と減災対策ついて
2.観光力向上に向けた戦略的情報発信について
3.6次産業化による農林漁業の成長戦略について
4.山口県産業技術センターの独法化による効果と今後の機能強化について
5.防長教育について
6.その他

Q1.山口島根豪雨災害の復興について
【質問者】二木健治

7月28日気象庁は、「これまでに経験したことのないような大雨」だとして「直ちに命を守る行動」を呼び掛けました。この大雨により萩市須佐で1時間に138・5ミリ、山口市では143ミリという1966年の統計開始以降で山口県内では過去最大の降水量を観測しました。
そして、山口県内で2人の死者と1人の行方不明者、10人の負傷者が発生しました。
さらに山口市では、住宅の全壊が9棟、床上浸水が161棟、床下浸水が655棟発生したほか、萩市では住宅の全壊が41棟、床上浸水が572棟、床下浸水が382棟発生しました。
又、JR山陰本線や山口線も4ヶ所で鉄橋が流される等により不通となりました。
山口県では、7月28日にただちに災害対策本部を立ち上げ、人命の救助や災害の復旧に努めてきました。十種ヶ峰では、孤立した204名の児童らが自衛隊のヘリにより救助されました。
さらに被災当初から国土交通省から延べ1,034人の災害の専門家や機材の派遣を受け被害状況の調査が迅速に行われ、8月4日には、安倍総理が、被災地を視察し、いち早く「激甚災害」の指定を受けました。
昨年の九州北部豪雨では、激甚災害指定まで約1ヶ月を要しましたが、この度の災害では約2週間で正式決定しました。
これらは国土交通省出身の山本知事や小口土木建築部長の要請のおかげと感謝します。そこでお尋ねいたしますが、国の激甚災害指定等を受け、今後公共土木施設や農地の復興にどのように取り組むのかお尋ねいたします。

【回答】土木建築部長
山口・島根豪雨災害の復興についてのお尋ねのうち、2点についてお答えいたします。まず、公共土木施設や農地の復興についてです。
このたびの記録的な大雨では、山口市、萩市等で甚大な被害が発生し、公共土木施設の被害は765箇所で約167億 円、農地・農業用施設の被害は2,699箇所で約61億円にのぼりました。このため、県では、早期復旧に向け、国のテックフォースの支援もいただきながら、速やかに国の災害査定を受ける準備を進めた結果、既に、通常よりも早い、発災後一ヶ月余りの9月9日から、計10週間にわたる査定が始まったところです。今後は、査定が完了した箇所から、順次復旧工事に着手することとしており、お示しの国の激甚災害の指定による財政的支援等を活用しながら、市町とも十分連携し、被災箇所の早期復旧に取り組むこととしています。具体的には、まず、河川については、破堤箇所や背後に家屋がある箇所から優先的に復旧工事に着手することとしており、併せて、阿武川・須佐川・田万川水系においては再度災害防止を図るため、通常の復旧事業に加え、広域河川改修事業や災害関連事業等を組み合わせ、抜本的な河川整備を進めます。また、道路については、幹線道路や緊急輸送道路など地域にとって重要な路線から優先的に復旧工事に着手いたします。さらに、農地・農業用施設については、実施主体である市町を支援し、今後、速やかに、本格的な復旧工事に着手できるように取り組んでまいります。

【質問者】二木健治
次に、防災力は「想像力(Imagination)」と「創造力(creativity)」が大切と申しますが、今回の「経験のないような大雨」に備え、河川整備などにおける災害の想定を早急に見直すべきと考えます。今後県では治水対策にどのように取り組むのかお尋ねいたします。

【回答】土木建築部長
次に、治水対策の今後の取り組みについてです。
近年、気候変動に起因する集中豪雨が頻発する中、このたびの「経験のないような大雨」で、阿武川等多くの河川が氾濫し、甚大な浸水被害が発生したところです。このため、こうした集中豪雨はいつでもどこでも発生するといった観点から、錦川や厚東川等の主要10水系において、このたびの県北部等で発生した集中豪雨を再現し、その条件下で発生が想定される洪水の状況から河川整備計画等の妥当性を検証中であり、必要に応じて計画を見直すこととしています。また、10水系以外の水系については、河川の計画を策定する際に用いている雨の強さを、近年の集中豪雨の発生状況を反映したものに見直し、今後、新規に事業着手する河川から、適用することとしています。さらに、これまで大規模な氾濫を想定していなかった中小河川についても、市町からの要望も踏まえて、水防警報河川に追加指定し、水位局の増設や浸水想定区域図の公表を行うなど、住民の避難等に資する情報の充実を図ることとしております。
 県としては、こうした取り組みにより、近年の集中豪雨の特性を踏まえた治水対策を進めてまいります。

【質問者】二木健治
次に、「住民の避難」に関してお尋ねいたします。
今回の豪雨に際し気象庁では、「経験したことのないような大雨」だとして「直ちに命を守る行動」を呼び掛けました。各自治体は河川の水位や雨量などに基づき避難勧告をだし、避難所に避難した人も多かったようです。一方で島根県では、避難場所に徒歩で向かっていて行方不明となった人がおられます。豪雨時の住民避難のあり方はどうあるべきか、自治体や地域にとって重い課題といえますが、県は今後、住民の避難についてどのように対応していくのかお尋ねいたします。
次に、気象庁は、今回の「経験のないような大雨」は、ビルの背後にビルが建つように積乱雲が次々に連続発生する「バックビルディング」と呼ばれる現象が原因だったと発表しました。
通常の積乱雲はきわめて局所的な現象で、そのエネルギーはせいぜい一時間ほどの間に20ミリから30ミリの雨を降らす程度ですが、バックビルディングといわれるものは、長い時間消滅せず、100ミリ前後の膨大な雨を数時間にわたって持続的に降らします。
しかも通常の積乱雲が四つも五つも重なったようなもので、局地的な現象にとどまらず、かなり広い範囲で起こるといわれています。この原因には、海水面の温度の上昇など地球温暖化による影響もあると言われています。そのためこうした豪雨は、いつどこで発生するかわかりません。
お隣の広島県の広島市、呉市、庄原市などでは2009年豪雨災害の教訓から、気象予報会社と契約して市内の空の変化を24時間監視しています。
今後、県内でも観測体制の充実などにより、減災対策に繋げていく必要があると考えますが、どのように取り組むのかお尋ねします。

【回答】総務部長
山口島根豪雨災害の復興についての2点のお尋ねにお答えします。
(3)まず、住民の避難についてです。
県では、今回の大雨災害を踏まえ、市町の意見も聞きながら、住民の避難対応等について検証を行い、様々な課題が明らかになったところです。このため、県としては、今回のような豪雨にも対応できるよう、地域の特性も踏まえた、より具体的な避難勧告等
の発令基準の設定や、住民への確実な情報伝達、高齢者等の災害時要援護者の円滑な避難対策等について、基本指針やガイドラインの充実を図り、市町の取組を支援してまいります。また、具体的な避難行動において、避難所への避難が危険な場合には、自宅の2階や、崖から離れた部屋へ移動するなど、状況に応じて適切に行動できるよう、出前講座や防災ガイドブックの配布等を通じて、県民の意識啓発を図ってまいります。
(4)次に、観測体制の充実についてのお尋ねです。
災害の原因となる気象現象に関する情報を得ることは、防災・減災対策の基本であることから、県では、下関気象台からの各種気象情報等に加え、民間2業者と契約し、各種の防災気象情報を収集しているところです。しかし、近年、予測の難しいとされる激しい気象現象が多発していることから、防災・減災対策を進める上では、より詳細で専門的な情報収集が重要と考えております。こうしたことから、県といたしましては、各種気象情報データの運用状況等も確認しながら、引き続き、観測体制の強化について検討してまいります。

Q2.観光力向上に向けた戦略的情報発信について
【質問者】二木健治

観光力の向上に向けた戦略的な情報発信ですが、まず、「株式会社おいでませ山口県」についてお尋ねいたします。
本県では、昨年12月13日の岩国錦帯橋空港の開港を機に、山口県の魅力を全国に情報発信するため、岩国市出身の漫画家弘兼憲史氏のヒット作「島耕作シリーズ」を活用した「株式会社おいでませ山口県」の観光キャンペーンに取り組まれたところです。同社は、社長がアニメキャラクターの「島耕作」で、観光客の皆様が株主の架空の株式会社です。
事業内容は、「食べちょる課」・「泊まっちょる課」・「楽しんじょる課」の三課部門による山口県の魅力を全国にPRする事業を展開することであります。
本県は、三方が海に開かれ、瀬戸内海や青海島、秋吉台などの自然の造形美が広がり、フグをはじめとした多彩な食や数多くの温泉地に恵まれております。
また、明治維新ゆかりの地「萩」や、錦帯橋、壇ノ浦に代表される、歴史・文化の地でもあります。
こうした地域特性や観光資源を活かした「社長島耕作」による観光PRの手腕に期待しているところであります。一方、我が国は、アニメやゲーム、ファッションなどのポップカルチャーを「クール・ジャッパン(かっこいい日本)」として世界に発信し、大勢の外国の若者が秋葉原などに訪れており、地方においてもポップカルチャーを地域振興や観光振興に活かす「クール・ローカル」の取り組みが広がっています。
そこで山口県発の「クール・ヤマグチ」といわれるような全国で注目を浴びる取り組みが求められると思います。そんな中、「島耕作シリーズ」は、大学生やサラリーマンに人気が高く、特にOLに人気で、こうした可処分所得の高い大人の女性へのPRは、大いに期待ができ、本県に興味を抱いてもらうことによって、来県につなげていくのではないかと考えます。
そこで「株式会社おいでませ山口県」の今までの成果と今後の取り組みについてお尋ねいたします。

【回答】山本知事
私からは、二木議員の観光力の向上に向けた戦略的な情報発信に関する御質問のうち、「株式会社おいでませ山口県」についてのお尋ねにお答えします。
私は、本県観光力の強化を図るには、本県の認知度の向上と、県内各地の観光資源の魅力向上を図っていくことが不可欠と考えております。「株式会社おいでませ山口県」の設立は、こうした本県観光の認知度や魅力の向上を図る広告戦略として企画したものでありまして、昨年の設立発表会の様子は、全国150ものメディアに取り上げられ、高い広告効果を上げたところであります。
また、同社の初プロジェクトとして展開した岩国錦帯橋空港開港キャンペーンでは、観光PR活動のほか観光客への株主優待券や高速道路周遊フリーパスの発行等に取り組み、首都圏からの誘客の拡大に一定の効果をあげたところであります。同社では、現在、第2弾の企画として、全国に誇る本県の食をテーマとした「美食王国やまぐち」プロジェクトを推進しているところでありまして、フランス人三つ星シェフの親善大使としての起用や山口のうまいものを全国に発信する「美食コレクション」の実施など、多彩な企画を展開しております。また、今後におきましても、島耕作社長の高い知名度を活かしつつ、本県の歴史・文化資産等の魅力を活かした観光商品の開発や、雑誌等とのタイアップ広告、本県独自の「おもてなし宣言」「地酒乾杯宣言」等による国内外へのアピールの強化など、話題性のある企画を積極的に展開してまいりたいと考えております。県としては、これらの取組を通じて本県観光への関心、意欲を喚起し、宿泊客500万人の実現にしっかりと繋げてまいります。

【質問者】二木健治
次に、戦略的な情報発信としての「シネマ・ツーリズム」の取り組みについてお尋ねします。
私事ですが、お盆休みに小説を読みました。「汚れちまった道」と「萩殺人事件」の2冊の本です。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、小説「浅見光彦シリーズ」で知られる作家内田康夫が取材から出版まで2年有余に及ぶ時間とエネルギーを費やして執筆し、平成24年10月15日に同時刊行されました。因に、「汚れちまった道」は中原中也の詩である「汚れちまった悲しみ」をモチーフにしています。
本県を舞台に同時に発生した事件・物語が二冊の小説の中、同時進行形で展開し、互いに干渉しあい、登場人物が錯綜しながら大団円に向かうミステリー小説です。
この小説の中で萩や秋吉台などの観光地はもちろん実在の萩市の旅館「常茂恵」や宇部市の「ANAクラウンプラザホテル宇部」、割烹「明徳」などが何度も出てきます。この小説のおかげで「ANAクラウンプラザホテル宇部」に宿泊し、割烹「明徳」で食事をする全国からの浅見光彦ファンが、宇部市にも来られているそうです。   
因に、浅見光彦クラブの会員は2万人を超えており、今後、映画化やTV化されるとより多くの方が本県を訪問されると期待しています。
現在、こうした映画やドラマの舞台を巡る「シネマ・ツーリズム」が大変注目されています。
これは、1980年大林宣彦監督が故郷の尾道を舞台に「転校生」・「時をかける少女」・「さびしんぼう」の三部作を手掛けたのが最初とされ、ロケ地を多くのファンが訪ねることから、地域経済への活性化につながり、「シネマ・ツーリズム」の名称として定着したところであります。
こうした効果があるため、各自治体も地域活性化や文化振興、観光振興を目的に映画など撮影場所誘致や撮影支援をおこなっており、本県においても下関市など6市にフィルムコミッションがあり、「男はつらいよシリーズ」や「釣りバカ日誌シリーズ」などのロケが行われ、地域経済への効果があったようです。
一方、最近では、海外からのロケも多く、韓国ドラマの「アイリス」のロケ地となった秋田県では大勢の韓国人が訪れたという実績があります。
そこでお尋ねですが、戦略的な情報発信としての海外を含めた「シネマ・ツーリズム」について、今後どう取り組まれるのかお尋ねいたします。

【回答】商工労働部長
観光力の向上についての御質問のうち、「シネマ・ツーリズム」の取り組みについてのお尋ねにお答えします。
お示しのとおり、ロケの誘致等を通じた「シネマ・ツーリズム」の取組は、観光客の誘致拡大に大きな効果が期待できるものと考えています。このため、県では、平成15年に県フィルムコミッションを設立し、関係市町との連携の下、ロケ候補地の紹介や制作会社へのPR、撮影支援等に積極的に取り組んでまいりました。こうした取組により、この4年間でも映画4作品、テレビドラマ6作品を誘致し、今年においても、来年1月上映の映画「黒執事」や先日放映されたNHKの特別ドラマ「はじまりの歌」を誘致するなど着実に成果をあげてきたところです。県では、さらなる誘致拡大に向け、現在策定中の「やまぐち観光推進計画」に「ロケ地誘致倍増プロジェクト」を掲げ、今後4年間で20件の誘致を目標に、より積極的な活動を展開していくこととしています。
具体的には、映像制作会社へのプロモーション活動の強化や全国ロケ地フェアへの参加、歴史・文化資産等のロケ候補地情報の充実とともに、海外ドラマについても、効果的な誘致方法等の検討を進めてまいります。さらに、舞台となったロケ地情報を活用した誘客の拡大を図るため、ロケ地マップ「シネマの旅」による情報発信や旅行業者へのPR活動を強化することとしており、県としては、市町等と一体となってこれらの取組を総合的に展開し、観光客の拡大に繋げてまいりたいと考えております。 

Q3.6次産業化による農林漁業の成長戦略について
【質問者】二木健治

平成25年2月1日農林水産省は、我が国の農林漁業が農林漁業者の所得を確保し、農山漁村において雇用機会を創出することができる成長産業となるようにするため、農林漁業者が主体となって新たな事業分野を開拓する事業活動等に対し、農林漁業成長産業化ファンドを通じて出融資や経営支援を実施する株式会社農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)を開業しました。
これまでの農林漁業施策は補助金や低利融資などの仕組みがあり、農林漁業者が初めて活用する施策としては使いやすい一方で、経営規模が拡大する過程では、経営者のより柔軟で自発的な取り組み不足が問題とされていました。
現在、TPPなど時代の転換点を迎えている中、A-FIVEなどの活用により生産者が一層よりよいものを生産し、それを加工、流通や販売を通じて、さらに価値の高いものとして消費者に届けることができるようになりました。又、輸出を通じて世界の消費者にも届けることが可能となります。山口県におきましてもこうした農林漁業の生産、加工、販売まで行う6次産業化を地域活性化の起爆剤とする農林漁業の成長戦略が求められています。
若者が夢と希望をもって農林漁業に従事したいと思えるような取り組みや中山間地域や大規模化できない小規模農家でも農業経営を持続できる仕組みづくりを行わなければなりません。
「言うは易く、行うは難し」と申しますが、明治時代のあるトマト農家の成功事例が参考になります。明治32年(1899年)「これからは西洋野菜の時代だ。」と愛知県の農家蟹江一太郎氏がトマトの栽培を始めました。しかし当初はトマトの栽培はうまくいかずまったく売れませんでした。試行錯誤の末にトマトピューレーとして加工することによってようやく販売にこぎつけました。
明治39年東海市荒尾町西屋敷に工場を建設し、明治41年トマトケチャップおよびウスターソースの製造を開始。大正3年愛知トマトソース製造合資会社を資本金3千円で設立しました。
これがカゴメ株式会社の前身です。現在、カゴメは資本金199億85百万円、売上高1962億33百万円、従業員数2209人の大企業となり、日本で1年間に消費されるトマトの3割にあたる約35万トンのトマトを栽培農家約30カ所・数百人と契約し生産しています。
生産トマトの取扱量としては世界第11位ですが、トマトの研究開発、生産、加工、販売まで行う世界唯一の企業です。
まさにカゴメは、6次産業のお手本となるビジネスモデルと言えます。こうした第二、第三のカゴメのような企業を地元から輩出することが求められています。そこで県では6次産業化による農林漁業の成長戦略についてどのように取り組むのかお尋ねいたします。

【回答】農林水産部長
6次産業化による農林漁業の成長戦略についてのお尋ねにお答えします。
6次産業化の取組は、農林漁業者の所得を確保し、農山漁村において雇用機会を創出するなど、地域を活性化する上で重要であると考えています。
このため県では、平成23年度に6次産業化サポートセンターを設置し、専門知識を持つプランナーの派遣や新商品開発セミナーの開催、販路拡大に向けた異業種交流会の開催などを実施してきた結果、これまで11件の計画が国の認定を受け、新商品の開発や販売先の確保などの事業化が進んでいるところです。さらに、新たに加工施設を整備し、新商品開発や販路開拓を行う事業拡大の取組に対して、国の事業と県独自の「やまぐち夢づくり産業支援ファンド」を効率的に組み合わせ、資金面からも支援することとしています。今後は、生産者と加工・流通・観光業者などが連携する取組にきめ細かく対応できるよう、県内8地域に事業化を支援する組織を順次設置するとともに、県段階においても生産者団体、商工団体などで構成し、商品開発などに対して専門的な指導・助言を行う組織を設置するなど、6次産業化を支援する体制を一段と強化してまいります。また、こうした支援体制の下で、国の認定に向け、事業計画を策定する段階から、その実現に有効な補助事業と、国や県のファンドを効果的に活用することも念頭において、経営が持続的に発展・拡大し、お示しの6次産業化の手本となるような事例が実現するよう努めていく考えです。県としましては、引き続き、関係機関・団体などと緊密に連携しながら、農林漁業の成長戦略の一つの柱となるよう、6次産業化を積極的に推進してまいります。

Q4.山口県産業技術センターの独法化による効果と今後の機能強化について
【質問者】二木健治

平成21年4月1日山口県産業技術センターは、地方独立行政法人山口県産業技術センターへ組織変更しました。
県は、「山口県行政改革推進プラン」に基づき平成19年に策定した「試験研究機関見直し計画」に沿って産業技術センターの役割、将来像を踏まえた地方独立行政法人化について、県議会や県内中小企業、産業技術センター運営協議会、現場の研究員の意見を十分聞きながら検討を進められました。
私も商工労働委員会の副委員長として、2年間地方独立行政法人化に携わり、「独法化のメリットやデメリットについて」、「独法化後の県議会のチェック体制について」、「独法化後の職員の身分について」などについて議論を交わしました。
独法化のメリットとしては、①競争的外部資金等の獲得による企業支援の強化と自主財源の確保ができる。②運営費交付金を主要財源とした弾力的・効率的な業務運営ができる。③企業ニーズに応じた自律的な組織運営ができるとのことであり、デメリットとしては、独自の電算システムの運用経費などの新たな固定費が発生するとのことでありました。
また、独法化により、利用料金の値上げやサービスの低下や職員の勤務条件の悪化につながらないかということに対して、県内中小企業に対するサービスの一層の向上などを図るための方策の一つとして行われるもので、利用料金を含むサービスの低下や職場の勤務条件の悪化にはならないとのことでありました。
こうして県議会の承認を得て、地方独立行政法人化が4年前に正式に決定したところであります。
そこで、本年度末に5年間にわたる第1期中期目標の満了を迎えるあたり、まず、独法化による効果についてお尋ねいたします。
次に、県では産業技術センターを通じて、ものづくり企業の成長支援を目指した取り組みを進め、本県経済の活性化に向け、中小企業の振興を図られているところですが、今後の産業技術センターの機能強化には、どのように取り組まれるのかお尋ねいたします。

【回答】商工労働部長
山口県産業技術センターの独法化による効果と今後の機能強化についてのお尋ねにお答えします。

①独法化による効果について
産業技術センターは、「中核的技術支援拠点」として、平成21年の独法化以降、サービスの一層の向上や効率的な業務運営を行ってまいりました。
具体的には、新たに専任職員を配置した「技術相談室」などを設置するとともに、国等の外部資金を活用した県内中小企業との共同研究の実施など、企業ニーズに即応した自主的・弾力的な運営を進めております。
これらの取組の結果、独法化前と比べ、技術相談件数や共同研究件数が大幅に増加するとともに、支援業務に対するアンケートで、9割以上の企業から高い評価を得るなど、県としては、独法化の効果が着実にあがっていると考えております。

②今後の機能強化について
本県の重要課題である産業力の増強に向けた、戦略産業の育成・集積や、県内中小企業のものづくり力の高度化を図るためには、産業技術センターの役割は一層重要となります。
このため、県においては、第2期中期目標の策定にあたり、産学公や企業間連携による研究開発の支援体制の強化、事業化を見据えた実用化研究の実施、新たな技術課題に対応した試験研究機器の整備など、機能強化の検討を進めているところです。
今後とも、産業技術センターが「中核的技術支援拠点」として着実に成果を積み重ねていけるよう、県として必要な支援に努めてまいります。

  

Q5.「防長教育」について
【質問者】二木健治

防長教育会が発足し、来年で130年を迎えます。防長教育会は、明治17(1884)年に井上馨外務卿が帰郷した際、長州藩最後の毛利元徳藩主からの依頼によって県下の学事視察を行ったことに始まります。
井上外務卿は、「小学校教育レベルでは全国でも中位にある。しかし、中学校はその規模、学則、教員、生徒数など寂しい限りである。私としては故国山口県の学事をこのような状況に放置することは忍びない」と五中学の体制不備や運営資金不足、士族の窮乏等を報告しました。
その報告を受けた毛利元徳藩主は「防長教育会」の設立を決意し、創設基金として10万円を寄付したのを皮切りに、長府、徳山、清末各家及び岩国吉川家が寄付、更には政官界、実業界、県内各地の有志多数が賛同し、募金活動が行われました。
明治18年末には資金総額は304,915 円余となり、明治20年末には、山口県の地方税収入 384,554 円 に匹敵する380,499 円余という巨額に達し、明治22年頃には現在の金額に換算すると50億円に相当する50万円にも達していました。
我が国初の民間による教育基金です。創立当初の13年間は、山口・萩・徳山・岩国・豊浦に設立された5つの山口県立中学校の運営管理を、全面的に引き受けました。
しかしその後、明治30年9月までにこれら5つの中学校を全て山口県に寄付し、現在はそれぞれ県立高等学校となって存続しています。
また、明治21年には山口高等中学校(その後、山口高等学校と改称)を設立し、その運営管理をしておりましたが、これも曲折を経て明治38年に国に寄付し、官立山口高等商業学校へと改称され、現在の山口大学経済学部の基礎となりました。
因に山口大学経済学部は、東京大学教養学部、京都大学教養部に次いで全国で3番目の設立となります。
防長教育会は、これらの学校経営と併行して、山口県の子弟を大学に進学させるために、明治22年に「貸費留学」制度を発足させました。
それ以来、前途有為な山口県出身の学生に対する、奨学金貸与ならびに人づくり指導が行われてきました。現在までに学資や宿舎等の支援を受けて大学あるいは大学院を卒業した学生の総数は2,000 名を超えており、戦後の復興期に知事として本県の発展に尽力された小澤太郎先生もそのお一人であります。
こうした輝かしい歴史をもつ防長教育会は来年創立130年という節目の時期を迎えることとなりますが、これと軌を一にして現在、県教委では本県教育の指針たる教育振興基本計画の策定に取り組み、最終段階を迎えられています。
この計画策定を進める中で、田邊教育長は、井上馨外務卿や毛利元徳はじめ防長教育の先人たちに現在の山口県の教育状況についてどのように評価し報告されるか、又、この計画の中に歴史と伝統のある「防長教育」の理念をどう反映されようとしているのかお尋ねいたします。 以上をもちまして私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。

【回答】教育長
防長教育に関するお尋ねにお答えいたします。
教育に熱心な土壌に育まれ、「若さに期待し、若さに託してきた」防長教育は、本県教育の源流をなすものであり、お示しの「防長教育会」は、本県、さらには、我が国の発展を担う人材の育成に輝かしい実績をあげてこられました。
こうした防長教育の流れを汲み、少人数教育をはじめ、一人ひとりの個性や特性を重視する教育や、人材育成に熱心な県民性を背景に、地域協育ネットの積極的な取組による社会総がかりでの教育の進展などに、本県教育の特色が現れていると考えております。また、子どもたち一人ひとりのよさを認め、伸ばしながら、課題解決を図る教育の推進により、様々な課題がありますものの、夢や目標に向かって挑戦する心をもち、人の役に立つ人間になりたいとする子どもたちが、全国に比べて多い傾向が見られますとともに、学力につきましても着実に向上しているところです。こうした中、これからの変化の激しい社会におきまして、力強く生き抜く子どもたちに求められるものこそ、豊かな先見性をはじめ、進取の気質、質実剛健の気風、郷土を愛し郷土に奉仕する精神など、まさしく防長教育に息づく不易の理念であると考えております。このため、現在策定中の「山口県教育振興基本計画」におきましては、防長教育の理念を踏まえ、夢や目標を志に高め、自らの将来や社会を力強く切り拓いていく子どもたちの育成に向けて、新たに「未来を拓く たくましい『やまぐちっ子』の育成」を教育目標として掲げたところです。この教育目標の実現に向けまして、自分らしさを大切にしながら、高い志や自主・自立の精神を培う「キャリア教育」をはじめ、グローバルな視野を身に付ける「国際教育」、思いやりの心や規範意識を養う「道徳教育」、郷土への誇りや愛着を育む「伝統・文化教育」など、本県の特性を生かした実効性ある取組を進めてまいります。
県教委といたしましては、今後とも、防長教育の理念を貴重な財産として引き継ぎながら、山口県らしい特色ある教育の推進に全力で取り組んでまいります。